ホーム   最新ニュース   お問い合わせ   やまねこBLOG   サイトマップ  
  

ショッピングカート
Please wait...

カテゴリー一覧
Please wait...

やまねこ書店のご利用法

2015年9月30日(水曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@史上最大の決戦〜アローレはちきたFC戦

カテゴリー: - yamaneko @ 23時09分58秒

 9/20に行われたSPERIO城北−アローレはちきたFCの激闘からはや10日。

 私はこの試合を観ながら、ふと小林秀雄の『モオツァルト』の中にある一節を思い出していた。
 

モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。

 
 それほどに、両チームの見せたフットボールは疾走し、言葉の裡に玩弄することを容易には許さないものだった。そんな白熱がそこにはあった。

 しかし、私は自らの非才を省みず、敢えて、その試合について述べてみたいと思う。

* * * * *

 試合開始直後、立て続けのコーナーキックを得て城北を押し込むアローレ。しかしこの立ち上がりの危機をしのいだ城北は、長澤、松本の果敢なミドルシュートで反撃を開始する。

 その後は、激しい球際のしのぎ合いからボールを素早く前線に運び、両チームがカウンターの打ち合いをくり広げるオープンな展開となった。

 しかし、よりリスクの高い攻撃を行っていたのは城北の方であったろう。SBやボランチも積極的に高い位置を取って攻撃に参加していく城北に対し、一人でも局面を打開できる強力なアタッカー橋場を擁するアローレの攻撃は、基本的には前線の4枚を中心としたもので、SBはオーバーラップを控え目にしてDFラインを堅固に維持していた。そしてアローレが前半30分に奪った先制点は、こうした城北の積極的な姿勢が必然的に抱えていた守備の弱点を突いたものだったと言える。この日は普段の左ではなく右SBで先発した原田がドリブルで中盤までボールを運ぶが、DFラインの裏を狙ったスルーパスを相手ボランチにカットされると、左SB#35に展開され、そこから原田の背後のスペースに抜け目なく走り込んだ橋場にボールを通された。望月との一対一を制した橋場が正確にシュートをゴール左隅に流し込む。

 リスクの高い攻撃を行っている割に、リスク管理が不十分という“甘さ”は、これまでの対戦相手になら必ずしも大きな瑕疵とはならなかったが、さすがにこのクラスの相手は見逃してはくれなかった。

 まずアローレの左SBに対してノープレッシャーでDFライン裏へのパスを出させたのが第一のミス。このゾーンは本来満城が埋めるべき場所なので、ここはとにかく満城が必死に自分のポジションを埋めに戻るか、あるいは一番ボールに近かった長澤がもう少し寄せるか、いずれにしても、わずかでもいいので相手にプレッシャーを感じさせなくてはならなかったはずだ。

 そしてこの場面ではDFラインが乱れすぎてもいた。ホリケンがかなり前に出ていた一方で、望月は橋場を警戒したためか後方に留まっている。このためDFが「ライン」になっておらず、大きな縦のギャップができてしまっていた。原田が前線に上がっているのだから、ホリケンは後にとどまって左SBを加えた三枚でしっかりラインを構成してマイボールのうちに押し上げを行い、橋場をオフサイドポジションに置く、あるいはボールを奪われた後で有効なプレスがかからず裏にボールを出されたとしても、二人のCBで2対1のチャレンジ&カバーが可能な局面を作れていれば、もう少し落ち着いた対応もできたのではないか。

 しかし前半32分、城北はこの日が公式戦初出場となった松本陽介の粘り強いボールキープからの縦パスに長澤が鋭く反応、やや乱れたファーストタッチをものともせず、素晴らしいミドルシュートをアローレゴールに叩き込み、会場の空気を一変させる。左サイドで松本がボールをキープする間に、タッチラインまで広く幅を取ったシンペーに相手のCBが一枚食いついてきたことで作られたギャップを見逃さなかった長澤と松本の連携が生んだ“ゴラッソ”だった。

 その後は両チームともに際どいシュートシーンを作りながらも、1-1のスコアでハーフタイムを迎えた。後半頭から、城北・吉見監督は渡邉に代えて小林築を左SHに送り込む。

 アローレは、城北の配球の起点である成岡に対し、複数人でプレシャーをかけることを徹底して自由を与えず、ゲームから「消し」にかかっていたが、後半に入ると成岡はワンタッチでシンプルにボールを捌く回数を増やして徐々に存在感を取り戻し、城北は中盤を経由した厚みのある攻撃を見せられるようになってきた。一方アローレの野口監督は積極的に攻撃的な交替カードを切って勝負をかける。

 そして後半26分、野口監督のこの積極的な交代策が的中する。中盤でのボールの競り合いから割と無造作にDFラインの裏に出されたボールを、素晴らしい快足を見せてコントロールしたのは後半途中からピッチに立ったアローレの10番、山根だった。

 城北のGK中郷が前進してシュートコースを消しにかかるが、シュートは中郷をすり抜けてゴールネットを揺らす。

 中盤でのイーブンな浮き球に対して、城北のDFはスタンディングの状態からゴール方向に反転してダッシュしなくてはならなかったため、この数歩の差が先にトップスピードに乗った10番を止めるタスクを困難なものにしていたと言えそうだ。

 思わぬ失点を喫して反転攻勢に出ようという矢先の後半28分、城北にアクシデントが発生する。相手選手との接触で左SBの松本が頭部を地面に強く打ち、交替を強いられることになってしまったのだ。

 先制点のアシストのみならず、ここまで随所で「さすが」としか言いようのないプレーを見せて攻守に効きまくっていた松本をこの場面で失うのは大きな痛手としかいいようがなかった。城北にとっては非常に悪い流れである。

 城北・吉見監督はすぐさま24番、昨年までは実践学園高校で野口氏の薫陶を受けていた小池をピッチに送り出す。小池が左SHに入り、小林築が左SBにポジションを下げる。

 その後、城北は何とか同点の糸口を探そうとするものの、アローレのソリッドな守備組織を崩すことはかなわず、むしろ危険なカウンターを数度にわたって浴びせられる展開になった。これを綱渡りのような守備で辛うじて乗り切っていく。中でも最大のピンチは後半40分に作られたGKとの一対一の場面だったが、ここでは相手もシュートの精度を欠いて事なきを得た。アローレも三点目を奪って城北に“トドメ”を差すには至らない。

 いよいよ後半もアディショナルタイムを迎え、すでにほとんど時間はない。しかしここで左サイドからの相手ボールのスローインをホリケンがヘディングの競り合いから辛うじて左タッチライン沿いの小池に落とし、マイボールにすることに成功する。

 小池に向かって後方から猛然とプレスバックして寄せてくるアローレの選手に対し、ホリケンが身を挺してスクリーンをかけ、「虎の子」とも言えるボールを持った小池を必死に守る。これによって、わずかではあったが、何にも替えがたいほど貴重と時間なスペースが小池のために作り出された。

 城北の中でも数少ないレフティである小池は、その左足で逆サイドの磯部にサイドチェンジパスを出す。このボールに先に触ったのはアローレの左SBであったが、トラップがやや大きくなったところを見逃さず磯部がボールを取り返す。

 小刻みなタッチのドリブルでPA内に侵入する磯部。主審はすでに時計に目を落としている。おそらくこれがラストプレーになるだろう。磯部がボールをややこすり上げるようにして右足をコンパクトに振り抜くと、ボールはふわりと柔らかい弧を描き、まさにココしかない、という軌道を描いてファーサイドのネットに吸い込まれていった。

 ほとんどミラクルとしか言いようのないゴールに、赤スポに詰めかけた大観衆が一斉に立ち上がり、歓声が夜空に炸裂した。

 こうして都リーグ2部の試合としては空前絶後とも言える1000人に近い観客を赤スポが呑み込んだ「史上最大の戦い」は、2-2のドローでタイムアップのホイッスルを迎えたのであった。
 
  
【2015】SPERIO城北 − アローレはちきたFC【TSL-12】

  
* * * * *
 

インスピレーションを信じてリスクにチャレンジしろ。その霊感の中には、これまでの君のすべての経験が凝縮されているはずだから。

 
 ――すべては、ゴールネットを揺らすために。その美しい瞬間のために。

 
 
 これは、アローレはちきたFCとの試合を前にして私が書いたことだったが、長澤、磯部のゴールは、本当に美しかった。美しいとしか言いようがなかった。

 ほんの一瞬でも躊躇すれば、どちらもおそらくシュートチャンスはなかっただろう。この試合は常に追いかける展開となって本当に厳しいものだったが、あの場面で自分のインスピレーションを信じて、あのシュートを決められる技術と勇気は、どんなに賞賛しても足りない。

 そして、さらに今回の試合をドローに持ち込んだ勝負の細かい「綾」について考えてみたい。

 松本の負傷で急遽出場となった小池だったが、もし彼の利き足が左足でなければ、あそこまでスムーズに、そして正確に逆サイドにパスを出せただろうか。右足に持ち替えていたら、アローレの寄せが間に合ってあのパスは出せなかったはずだ。これが試合の趨勢を決めた一つ目の「綾」。

 そしてピッチ上に、様々なポジションをこなせる小林築がいたことで、松本の負傷退場という想定外のアクシデントにもスムーズに対応することができた。これが二つ目の勝負の「綾」である。

 シーズン序盤こそCHでの出場が多かった築だが、その後は田熊がCHを定位置として獲得したこともあって、左SHやFWなど、様々なポジションで使われ、練習試合では左SBでもプレーするようになっていた。こうした状況の中で、自分の強みを一番出せるポジションで勝負したい、という想いがきっと築にもあったにちがいない。しかしこうして様々なポジションをこなせるということも十分立派な「強み」であり、そのマルチロールぶりがこの試合ではチームの柔軟なアクシデント対応能力に結びついた。

 そして、前節のあきる野FC戦でも登録上は出場可能であった松本陽介をゲームに出さなかったことも、吉見監督の「深謀遠慮」ではなかったか、と私は推測している。

 試合後、ダイジェスト映像を私がすぐに公開してしまうために(申し訳ない・・・)、もし松本を前の試合でプレーさせれば、対戦相手に貴重な情報を与えて、さまざまな準備をさせてしまうことになる。吉見監督はそれを回避するために、実戦の場で連携を深めるチャンスを逃すことになったとしても、松本という「切り札」を相手から隠すことを優先したのではなかったか。その策が前半の同点弾の場面だけでなく、多くのチャンスを左サイドから作り出すことに繋がった。これが三つめの勝負の「綾」である。聞けば、アローレの野口監督も城北のスカウティングを精力的に行っていたそうだし、試合の前から両監督の間で静かな駆け引き、「情報戦」が展開されていたと考えると、試合の味わいもまた一段と深みを増すというものだ。

 そして今年の城北の本当の強みとは、こうした多彩な個性が作り出す分厚い選手層が、吉見監督の手腕によって相乗的に力を加算させていったところにあったのではないだろうか。今年は例年になくたくさんの新加入選手を迎えることができ、そしてその多くが実際にリーグ戦の要所で貴重な活躍を見せてくれた。スペリオ城北というクラブに集まり、共に戦ってくれた選手たちに心から感謝したい。

 さて、これで城北は東京消防庁との最終戦を残すのみとなり、2試合を残すアローレとの得失点差は12を維持している。

 しかしこの試合でアローレが城北にトドメをさせなかったのと同様、我々もまだアローレにトドメを差した訳ではないということを再確認しなくてはならない。相手の牙はまだ折れていないのだ。――しかし、こんなことは私が言うまでもないことに違いない。

 最終戦、見事に勝って、今までみたことのない景色を見に行こう。雌伏の時はもう十分に経験した。さあ、新しいステージへの出場権をつかみ取ろう。

 がんばろう城北! 城北最高!


コメント

このコメントのRSS

TrackBack URL : http://yamaneko-bookstore.com/modules/wordpress/wp-trackback.php/1214

この投稿には、まだコメントが付いていません

コメントの投稿

改行や段落は自動です
URLとメールアドレスは自動的にリンクされますので、<a>タグは不要です。
以下のHTMLタグが使用可能です。
<a href="" title="" rel=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <br> <code> <em> <i> <strike> <strong>


28 queries. 0.102 sec.
Powered by WordPress Module based on WordPress ME & WordPress

サイト内検索

カレンダー
2015年 9月
« 7月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

カテゴリ一覧

最近の投稿

月別過去ログ

Link

Powered by XOOPS Cube 2.1© 2001-2006 XOOPS Cube Project
Theme Designed by OCEAN-NET