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2015年9月30日(水曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@史上最大の決戦〜アローレはちきたFC戦

カテゴリー: - yamaneko @ 23時09分58秒

 9/20に行われたSPERIO城北−アローレはちきたFCの激闘からはや10日。

 私はこの試合を観ながら、ふと小林秀雄の『モオツァルト』の中にある一節を思い出していた。
 

モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。

 
 それほどに、両チームの見せたフットボールは疾走し、言葉の裡に玩弄することを容易には許さないものだった。そんな白熱がそこにはあった。

 しかし、私は自らの非才を省みず、敢えて、その試合について述べてみたいと思う。

* * * * *

 試合開始直後、立て続けのコーナーキックを得て城北を押し込むアローレ。しかしこの立ち上がりの危機をしのいだ城北は、長澤、松本の果敢なミドルシュートで反撃を開始する。

 その後は、激しい球際のしのぎ合いからボールを素早く前線に運び、両チームがカウンターの打ち合いをくり広げるオープンな展開となった。

 しかし、よりリスクの高い攻撃を行っていたのは城北の方であったろう。SBやボランチも積極的に高い位置を取って攻撃に参加していく城北に対し、一人でも局面を打開できる強力なアタッカー橋場を擁するアローレの攻撃は、基本的には前線の4枚を中心としたもので、SBはオーバーラップを控え目にしてDFラインを堅固に維持していた。そしてアローレが前半30分に奪った先制点は、こうした城北の積極的な姿勢が必然的に抱えていた守備の弱点を突いたものだったと言える。この日は普段の左ではなく右SBで先発した原田がドリブルで中盤までボールを運ぶが、DFラインの裏を狙ったスルーパスを相手ボランチにカットされると、左SB#35に展開され、そこから原田の背後のスペースに抜け目なく走り込んだ橋場にボールを通された。望月との一対一を制した橋場が正確にシュートをゴール左隅に流し込む。

 リスクの高い攻撃を行っている割に、リスク管理が不十分という“甘さ”は、これまでの対戦相手になら必ずしも大きな瑕疵とはならなかったが、さすがにこのクラスの相手は見逃してはくれなかった。

 まずアローレの左SBに対してノープレッシャーでDFライン裏へのパスを出させたのが第一のミス。このゾーンは本来満城が埋めるべき場所なので、ここはとにかく満城が必死に自分のポジションを埋めに戻るか、あるいは一番ボールに近かった長澤がもう少し寄せるか、いずれにしても、わずかでもいいので相手にプレッシャーを感じさせなくてはならなかったはずだ。

 そしてこの場面ではDFラインが乱れすぎてもいた。ホリケンがかなり前に出ていた一方で、望月は橋場を警戒したためか後方に留まっている。このためDFが「ライン」になっておらず、大きな縦のギャップができてしまっていた。原田が前線に上がっているのだから、ホリケンは後にとどまって左SBを加えた三枚でしっかりラインを構成してマイボールのうちに押し上げを行い、橋場をオフサイドポジションに置く、あるいはボールを奪われた後で有効なプレスがかからず裏にボールを出されたとしても、二人のCBで2対1のチャレンジ&カバーが可能な局面を作れていれば、もう少し落ち着いた対応もできたのではないか。

 しかし前半32分、城北はこの日が公式戦初出場となった松本陽介の粘り強いボールキープからの縦パスに長澤が鋭く反応、やや乱れたファーストタッチをものともせず、素晴らしいミドルシュートをアローレゴールに叩き込み、会場の空気を一変させる。左サイドで松本がボールをキープする間に、タッチラインまで広く幅を取ったシンペーに相手のCBが一枚食いついてきたことで作られたギャップを見逃さなかった長澤と松本の連携が生んだ“ゴラッソ”だった。

 その後は両チームともに際どいシュートシーンを作りながらも、1-1のスコアでハーフタイムを迎えた。後半頭から、城北・吉見監督は渡邉に代えて小林築を左SHに送り込む。

 アローレは、城北の配球の起点である成岡に対し、複数人でプレシャーをかけることを徹底して自由を与えず、ゲームから「消し」にかかっていたが、後半に入ると成岡はワンタッチでシンプルにボールを捌く回数を増やして徐々に存在感を取り戻し、城北は中盤を経由した厚みのある攻撃を見せられるようになってきた。一方アローレの野口監督は積極的に攻撃的な交替カードを切って勝負をかける。

 そして後半26分、野口監督のこの積極的な交代策が的中する。中盤でのボールの競り合いから割と無造作にDFラインの裏に出されたボールを、素晴らしい快足を見せてコントロールしたのは後半途中からピッチに立ったアローレの10番、山根だった。

 城北のGK中郷が前進してシュートコースを消しにかかるが、シュートは中郷をすり抜けてゴールネットを揺らす。

 中盤でのイーブンな浮き球に対して、城北のDFはスタンディングの状態からゴール方向に反転してダッシュしなくてはならなかったため、この数歩の差が先にトップスピードに乗った10番を止めるタスクを困難なものにしていたと言えそうだ。

 思わぬ失点を喫して反転攻勢に出ようという矢先の後半28分、城北にアクシデントが発生する。相手選手との接触で左SBの松本が頭部を地面に強く打ち、交替を強いられることになってしまったのだ。

 先制点のアシストのみならず、ここまで随所で「さすが」としか言いようのないプレーを見せて攻守に効きまくっていた松本をこの場面で失うのは大きな痛手としかいいようがなかった。城北にとっては非常に悪い流れである。

 城北・吉見監督はすぐさま24番、昨年までは実践学園高校で野口氏の薫陶を受けていた小池をピッチに送り出す。小池が左SHに入り、小林築が左SBにポジションを下げる。

 その後、城北は何とか同点の糸口を探そうとするものの、アローレのソリッドな守備組織を崩すことはかなわず、むしろ危険なカウンターを数度にわたって浴びせられる展開になった。これを綱渡りのような守備で辛うじて乗り切っていく。中でも最大のピンチは後半40分に作られたGKとの一対一の場面だったが、ここでは相手もシュートの精度を欠いて事なきを得た。アローレも三点目を奪って城北に“トドメ”を差すには至らない。

 いよいよ後半もアディショナルタイムを迎え、すでにほとんど時間はない。しかしここで左サイドからの相手ボールのスローインをホリケンがヘディングの競り合いから辛うじて左タッチライン沿いの小池に落とし、マイボールにすることに成功する。

 小池に向かって後方から猛然とプレスバックして寄せてくるアローレの選手に対し、ホリケンが身を挺してスクリーンをかけ、「虎の子」とも言えるボールを持った小池を必死に守る。これによって、わずかではあったが、何にも替えがたいほど貴重と時間なスペースが小池のために作り出された。

 城北の中でも数少ないレフティである小池は、その左足で逆サイドの磯部にサイドチェンジパスを出す。このボールに先に触ったのはアローレの左SBであったが、トラップがやや大きくなったところを見逃さず磯部がボールを取り返す。

 小刻みなタッチのドリブルでPA内に侵入する磯部。主審はすでに時計に目を落としている。おそらくこれがラストプレーになるだろう。磯部がボールをややこすり上げるようにして右足をコンパクトに振り抜くと、ボールはふわりと柔らかい弧を描き、まさにココしかない、という軌道を描いてファーサイドのネットに吸い込まれていった。

 ほとんどミラクルとしか言いようのないゴールに、赤スポに詰めかけた大観衆が一斉に立ち上がり、歓声が夜空に炸裂した。

 こうして都リーグ2部の試合としては空前絶後とも言える1000人に近い観客を赤スポが呑み込んだ「史上最大の戦い」は、2-2のドローでタイムアップのホイッスルを迎えたのであった。
 
  
【2015】SPERIO城北 − アローレはちきたFC【TSL-12】

  
* * * * *
 

インスピレーションを信じてリスクにチャレンジしろ。その霊感の中には、これまでの君のすべての経験が凝縮されているはずだから。

 
 ――すべては、ゴールネットを揺らすために。その美しい瞬間のために。

 
 
 これは、アローレはちきたFCとの試合を前にして私が書いたことだったが、長澤、磯部のゴールは、本当に美しかった。美しいとしか言いようがなかった。

 ほんの一瞬でも躊躇すれば、どちらもおそらくシュートチャンスはなかっただろう。この試合は常に追いかける展開となって本当に厳しいものだったが、あの場面で自分のインスピレーションを信じて、あのシュートを決められる技術と勇気は、どんなに賞賛しても足りない。

 そして、さらに今回の試合をドローに持ち込んだ勝負の細かい「綾」について考えてみたい。

 松本の負傷で急遽出場となった小池だったが、もし彼の利き足が左足でなければ、あそこまでスムーズに、そして正確に逆サイドにパスを出せただろうか。右足に持ち替えていたら、アローレの寄せが間に合ってあのパスは出せなかったはずだ。これが試合の趨勢を決めた一つ目の「綾」。

 そしてピッチ上に、様々なポジションをこなせる小林築がいたことで、松本の負傷退場という想定外のアクシデントにもスムーズに対応することができた。これが二つ目の勝負の「綾」である。

 シーズン序盤こそCHでの出場が多かった築だが、その後は田熊がCHを定位置として獲得したこともあって、左SHやFWなど、様々なポジションで使われ、練習試合では左SBでもプレーするようになっていた。こうした状況の中で、自分の強みを一番出せるポジションで勝負したい、という想いがきっと築にもあったにちがいない。しかしこうして様々なポジションをこなせるということも十分立派な「強み」であり、そのマルチロールぶりがこの試合ではチームの柔軟なアクシデント対応能力に結びついた。

 そして、前節のあきる野FC戦でも登録上は出場可能であった松本陽介をゲームに出さなかったことも、吉見監督の「深謀遠慮」ではなかったか、と私は推測している。

 試合後、ダイジェスト映像を私がすぐに公開してしまうために(申し訳ない・・・)、もし松本を前の試合でプレーさせれば、対戦相手に貴重な情報を与えて、さまざまな準備をさせてしまうことになる。吉見監督はそれを回避するために、実戦の場で連携を深めるチャンスを逃すことになったとしても、松本という「切り札」を相手から隠すことを優先したのではなかったか。その策が前半の同点弾の場面だけでなく、多くのチャンスを左サイドから作り出すことに繋がった。これが三つめの勝負の「綾」である。聞けば、アローレの野口監督も城北のスカウティングを精力的に行っていたそうだし、試合の前から両監督の間で静かな駆け引き、「情報戦」が展開されていたと考えると、試合の味わいもまた一段と深みを増すというものだ。

 そして今年の城北の本当の強みとは、こうした多彩な個性が作り出す分厚い選手層が、吉見監督の手腕によって相乗的に力を加算させていったところにあったのではないだろうか。今年は例年になくたくさんの新加入選手を迎えることができ、そしてその多くが実際にリーグ戦の要所で貴重な活躍を見せてくれた。スペリオ城北というクラブに集まり、共に戦ってくれた選手たちに心から感謝したい。

 さて、これで城北は東京消防庁との最終戦を残すのみとなり、2試合を残すアローレとの得失点差は12を維持している。

 しかしこの試合でアローレが城北にトドメをさせなかったのと同様、我々もまだアローレにトドメを差した訳ではないということを再確認しなくてはならない。相手の牙はまだ折れていないのだ。――しかし、こんなことは私が言うまでもないことに違いない。

 最終戦、見事に勝って、今までみたことのない景色を見に行こう。雌伏の時はもう十分に経験した。さあ、新しいステージへの出場権をつかみ取ろう。

 がんばろう城北! 城北最高!


2015年9月15日(火曜日)

 勝手にSPERIOクロニクル@大一番を前に

カテゴリー: - yamaneko @ 20時57分18秒

 9/6、あきる野FCを5-1で退けたSPERIO城北は、今季のリーグ戦での連勝を11に伸ばした。

 だがここまでの11試合は、今季のSPERIO城北がブロック優勝を争う最後の戦いのステージに進むに値するのか否かを問う、“トライアル”だったとさえ言える。

 その審問に対して、城北の選手たちは「11連勝」という完璧な解答を提出してみせた。まずは、この達成に対して心よりの賛辞を送りたい。

 この11試合、一つとして楽な試合はなかった。

 スコアとして大きな得点差のついた試合は確かにある。しかし、どんなに点差がついた試合だったとしても、決して試合をあきらめた対戦相手はなかった。

 腹立ち紛れにラフなプレーに走ることもなく、どのチームも最後まで走り抜き、体を張って、意地の1ゴールを取りに来ていた。

 東京都社会人リーグ2部3ブロックに所属するすべてのフットボーラー、そのフェアネスと敢闘精神にも、やはり敬意を表したい。
 
 
 * * * *
 

 そしていよいよ今週末、今季のブロック優勝を賭けた最大の挑戦が待っている。

 全勝同士の首位争奪戦――最っ高にシビれる展開だ。

 しかし、こういうギリギリの試合に臨めるということこそ、フットボーラー冥利に尽きるというものではないか。

 日々サッカーに向き合い、献身しつづけてきた君たち自身の努力が、この試合を戦う権利を勝ち取ったのだ。それは十分に誇りに感じていい。

 その誇りを自信に変えて、しっかりと胸に刻み、最高の相手に立ち向かって欲しい。持てる力の全てを、ゲームの中で出し切って欲しい。

 このクラブは、君たちのものだ。

 君たちがこういうゲームを楽しむためにこそ、このクラブはあるのだ。

 君たちのフットボーラーとしてのあらん限りの燃焼を、私たちに見せてくれ。見せつけてくれ。

 君たちに最高の舞台を整えるために、私たちも最大限の努力をすると約束する。

 走りまくって抜き去れ。

 裏を取って出し抜け。

 球際を制して主導権を渡すな。

 インスピレーションを信じてリスクにチャレンジしろ。その霊感の中には、これまでの君のすべての経験が凝縮されているはずだから。

 ――すべては、ゴールネットを揺らすために。その美しい瞬間のために。
 

 * * * *
 

 しかしフットボールは残酷だ。

 ピッチの上では、あらゆることが起こりうる。意図したことも、意図しないことも。

 タイムアップのホイッスルが鳴った時、必ず勝者と敗者が分かたれる。たとえドローでも。

 その残酷さを、私たちはすでに存分に知っている。知りすぎているとさえ言える。

 けれどその残酷さは、私たちから何も失わせはしない。フットボールは私たちの暮らしとなって、日常の中で息づき、これからも続いていく。

 だから何も恐れるな。迷うな。

 体を縮こませ、喉を締め付けるような緊張に襲われた時、それは君自身の「勝ちたい」という強い願いの反転であることに気付けばいい。

 そしてこの最高の挑戦を、どうか心から楽しんでほしい。

 私たちは君たちのその挑戦を、いつまでも忘れずに語り継ぐだろう。


2015年9月2日(水曜日)

勝手にSPERIOクロニクル FC INAHO戦

カテゴリー: - yamaneko @ 19時16分36秒

■シーズン終盤戦、突入!

 今年のリーグ戦もいよいよ残すところあと4試合となりました。ここまで城北は球団記録となる9連を記録勝。しかしそれは決して“破竹の快進撃”というような楽な試合ばかりではありませんでした。後半アディショナルタイムにようやく決勝点を挙げて辛くも勝ち点3を手にした試合がすでに2度。選手たちの最後まで勝ちにこだわる強い思いがこの結果を生み出しているのは間違いありません。

 今節の対戦相手は早稲田大学稲穂キッカーズのOB及び現役有志メンバーによって構成されているという、FC INAHOさん。稲穂キッカーズは体育会ではありませんが、何と50年以上の歴史を有する超名門の同好会です。東就アストラ倶楽部慶應BRBなんかもそうですが、こういう歴史のあるクラブの存在を知ると、「日本サッカーはまだまだ歴史が浅い」などとしたり顔をする向きには「何言ってやがんでぇ」と言い返したくなってきます。こういうクラブが実は日本全国に存在して、黙々と日本サッカーの裾野を維持し続けていたんです。

 さて、そのFC INAHOは2013年に一度城北と対戦しており、その時は長澤の2ゴールなどで4-1と城北が勝利しています。この年に残念ながら最下位となって3部に降格しましたものの、見事に1年で2部に返り咲いており、やはりクラブとしての地力の強さを感じますね。今年のリーグ戦ではここまで2勝1分3敗という戦績で負けが先行しているとは言え、2失点以上を喫した試合はないという堅守が光ります。この堅実な守備を向こうに回して、いかに崩していくか、それが今節の城北にとってのミッションとなりそうです。

■最強ツートップ復活!

 城北はいつもどおりの慣れ親しんだ4-4-2。一方のFC INAHOは上背のある9番をワントップに据えた4-5-1のようです。

 各チームのスターティングラインナップは画像をご覧いただくとして、特筆すべきは学業&就職活動に専念するためチームを離れていた磯部が前線に復帰したことでしょう。昨シーズンのリーグ戦では長澤と二人で36得点を叩き出したツートップがついに復活です!
 もちろんこの間、満城と小池も実によくやってくれました。先ほど今年は後半ATでの決勝点が2回あると書きましたが、一つは第一三共戦での満城のゴール、そしてもう一つはFC STEAM戦でロスタイムに小池がゲットしたPKをシンペーが決めたものですから、この二人の活躍なくして9連勝はなかったと断言できるほどです。しかしやはり長澤&磯部のツートップには、何と言うかこう、“盤石の安心感”があります。

 そして中盤にはすっかりCHの定位置を獲得した田熊が先発出場。成岡がゴール前まで前進して攻撃に厚みを出すのが今年の城北のストロングポイントですが、素晴らしいスピードと運動量で成岡が空けたスペースをカバーすることができる田熊の存在がこれを可能にしていると言えるでしょう。そしてチャンスとみるや、後方から矢のように前線に駆け上がる田熊のプレーは、これまでの城北の攻めにはあまり見られなかった「縦への突進力」をもたらしているようにも思います。

 では試合はいつものようにダイジェスト映像でどうぞ!

【2015】SPERIO城北 − FC INAHO【TSL-10】

■充実の仕上がりを見せるSPERIO城北

 前節のFC品川戦については記事を書かずにおりましたが、これが何でかというと、3-1と勝利こそあげたものの、試合内容としてはいろいろと課題が多くて、それをどう書いていいものかと悩んでいる内に時間が経ってしまったからなのですね。

 あれはナイターとはいえ実に蒸し暑い、キツいコンディションの試合でしたから、運動量と判断のスピードを維持するのも大変だったというのを差し引いたとしても、FWへのフォローが遅く、せっかく前線にできた起点をみすみす潰してしまったり、使うべきスペースに誰も入っていかなかったり、逆に同じスペースに二人が一緒に入り込んで詰まってしまったり・・・といった非効率なプレーが散見されました。チームとしてどう動くのか、どこを使って攻めるのか、といった基本的なコンセプトを再確認する必要があるんじゃないか、という感じがしたのです。

 しかし! 今節は前節とはまったく別ものと言えるくらいの素晴らしい連動性が実現されていて、「うわああ、サッカー観るのって面白ぇ!」と改めて思わされるような場面の連続でした。一ヶ月ちかくあった長い中断期間を、城北の選手たちは決して無為には過ごさなかったわけです。夏の盛りの遊びたい時期に、彼らがどれだけサッカーのことを考え、練習に打ち込んできたのか(しかも仕事をしながら!)を思えば、本当に頭が下がります。

 たとえば1点目、原田のゴラッソがネットを揺らしたシーンですが、これもシュートにいくまでのプロセスが素晴らしい。

1.まず、成岡が相手FWの左側で最終ラインからボールを呼び込んでターン。INAHOのトップ下#21がサボらずに成岡のマークに来ますが、成岡は余裕をもって左の原田に展開。以前の記事で、ゾーンDFを崩す上で使いたいスペースの画像を示しましたが、ここは「 」のスペースになります。このスペースからボールを逆サイドに展開することで相手の守備陣をスライドさせ、ギャップを作り出していきます。

2.原田が受けると、相手の右SHがチェックに出てきます。これで「 」のスペースが広くなりました。成岡がパスアンドゴーでこのスペースに侵入します。この時シンペーは中に絞っていて、SBやボランチがここに入ってこれるようにしているのが効果的ですね。

3.成岡はこのスペースに侵入して原田からのリターンを受けると、さらにタッチライン近くまでボールを運んで、相手のボランチ#8を引っ張ります。

4.これでバイタルエリアが大きく空きました。 さらに、長澤がサイドに向けて走りだしたことで、右CBの#4が引っ張り出され、両CBの間も大きく開いています。・・・かなりチャンスです。このバイタルエリアに成岡がボールを出します。もしかしたらシンペーに出したのかもしれないけど、成岡をインナーラップする形で原田がこれを拾う。

5.原田はそのままガバッと開いているバイタルエリアに果敢にドリブルで侵入、さらに両CBが“門を開けた”状態になっていて無防備なゴールをロングシュートで急襲します。あの刹那にGKのポジションまでみて頭上を抜けると即座に判断したのだとしたら本当にすごい。

 この先制点の場面で素晴らしかったのは、原田の「シュートを打つ!」というためらいのない決断だけでなく、こういうシュートを打てる状況を作った周囲のプレーヤーと原田自身のオフザボールの動きでもあったわけです。

 さて、これで「 」のスペースを使ってボールをサイドに展開して相手をスライドさせ、「 」のスペースに起点を作り、そこからバイタルエリアや裏のスペースを狙う、というゾーンDF崩しの有効性が再び確認できたわけです。

 そして、それは逆に、

 .丱ぅ織襯┘螢△覗阿鮓いて、

 ▲痢璽廛譽奪轡磧爾妊棔璽襪鮖たれたら、

 「どんなことだって起き得る」

 ということでもあります。

 これは自分たちが守備の場合でも同じですから、このスペースのカバーリングということだけはくれぐれも注意したいですね。

 本当は他にももっと書きたいことはあるのですが、手の内をあまり晒したくない時期になりましたw シーズン終了後にでもまたゆっくり書こうかと思います。

■残念なヨネの負傷離脱

 最後に、ダイジェスト動画にもその場面を入れましたが、右サイドバックの米口選手が試合中に負傷。来週の試合はもちろん、今シーズンの復帰が難しい状況となってしまいました。ビルドアップのセンスに優れ、稲見との息のあったコンビプレーで右サイドを攻略するヨネをこの時期に失うのは本当に痛い・・・。しかし怪我をしてしまったものはもう仕方ないので、来シーズンでの復帰を照準に大事に治して下さい。多分来シーズンは1部でプレーできるはずなので!

 さて、ヨネの抜けた右サイドバックですが、田熊は本来ここが本職だし、原田もそもそも右利きですから、こっちもできるでしょう。それに次節からは、おそらく新加入の松本陽介選手も出場可能になっているはずですから、サイドバックがいねー! ということにはならないはず。
 今節、ヨネの負傷の後は田熊を右サイドバックにまわしてCHに西松を入れる形で対応しましたが、西松と成岡というスキルの高い2人の選手が並ぶCHコンビは、田熊のコンビとはまた違った色合いが出て、これまた何とも味わい深い。もちろん小林築がCHに入ってくることも考えられますし、十分対応できるとは思います。岡田や倉持もいるし、稲畑だってサイドバックもCHもできるし・・・ううむ、それにしてもスゴイ選手層になったもんだ・・・

 というわけでヨネ、次節は一緒にスタンドで応援しようw あ、それとも uStream実況で解説やってみるとか、どう?


2015年7月14日(火曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@FC STEAM戦

カテゴリー: - yamaneko @ 03時49分01秒

 2015シーズンもいよいよ後半戦に突入。第8節の対戦相手はFC STEAMさんです。

 このクラブは、ユース年台の育成は京都で、社会人のトップチームは東京都リーグで活動という、ユニークな運営をされていて、京都ではあの高校サッカーの強豪、久御山高校の監督である松本悟さんが指導に当たっているようです。

 東京で活動するトップチームには、元JリーガーやJFLでのプレー経験者など、高い経験値を有するプレーヤーが在籍しており油断はできません。ただ全体的にチームの年齢構成は高めなので、走力勝負に持ち込んでしまいたいところではあります。

 実際、2年前のリーグ戦で対戦した時は城北が9-0で勝利しているのですが、9月のデーゲームということもあって暑かったせいでしょうか、相手の運動量が極端に少なかったことがとても印象に残っています。サイドチェンジしても逆サイドの選手がスライドして戻ってこないもんだから、ピッチ中央がガラ空き、みたいな状況になってて、やりたい放題だったんですけど・・・まあ、あくまで2年前のことですから、これを基準に考えるわけにはいきません。

 両チームの先発メンバーは以下の通りです。

 城北のフォーメーションはいつもの4-4-2。
 今節はコンディションの観点から成岡をベンチに温存して左CHに小林築を起用。そしてすっかりCHのポジションを勝ち取った田熊が今日も先発です。
 DFラインは右CBにホリケン、左SBには稲畑を入れた“対空中戦”仕様。

 対するFC STEAMは4-5-1のようでしたね。
 こうして背番号を並べて確認してみますと、FC STEAMの公式サイトのメンバーリストには掲示がない背番号が21、25、32、36と目立ちますので、やはり最近の加入選手も多いのだろうと推察されます。

■Match Report

 前半は、果敢に高いDFラインを維持しあう両チームが狭いエリアの中で素早く攻守の切り替えをくり返す好ゲーム。FC STEAMの選手の出足がよく、ボールホルダーに対しても厳しくアプローチしてきたため、城北としては攻めの形を作るのに苦労させられた印象です。

 加えて、FC STEAMの選手はプレッシャーを受けながらもボールを保持するスキルが高く、落ち着きがありました。そのため、城北はプレスがはまらなかったあとに相手のポゼッションに対してブロックを作って粘り強く守るという、これまでの対戦相手には許してこなかった時間帯も強いられることになりました。

 特にやっかいだったのはトップ下に入っていた#36の選手。前半5分に見せた柔らかいトラップからの反転→ループシュートなど、アウェイ会場に集まった城北サポも思わず唸るテクニックもあり、非常に危険な選手でした。この選手がフリーマンのような形でボールの近くや中盤の底に積極的に顔を出してビルドアップに加わると、4-4-2と4-5-1のかみ合わせから生じる中盤のミスマッチが顕著になり、これが相手にポゼッションを渡す時間帯を作ってしまう要因ともなっていたようです。

 城北は前半15分にCKから長澤のバイシクルシュート、24分には相手のセットプレイをはね返してからのカウンターなどでチャンスを作りましたが、前者はGKのナイスセーブ、後者はオフサイドと、得点を挙げられないまま0-0で前半を終了します。

 城北・吉見監督は後半頭から小林築に変えて成岡を投入。成岡を軸に丁寧にボールをまわしてサイドからの攻撃を徹底し、さらにセカンドボールを拾って執拗に波状攻撃をしかけます。

 これだけボールを回されると大抵マークがずれたりギャップができたりするものですが、サイドへの侵入はある程度許しても中央ではね返す、という割り切りがあったのか、上背のある二人のCBを中心に集中力を高く維持する相手の守備網はなかなかほころびを見せません。

 その後城北は後半16分に稲見→小池、24分に稲畑→原田、27分に米口→西松と、次々に攻撃的な選手を投入して膠着したゲームの打開をはかります。最終的にはこんな感じ。

 これが効を奏して、ヨネに替わって右SBにポジションを移したばかりの田熊が高い位置でボールを奪取すると、シンペーの無回転ブレ玉ミドルのこぼれ球に右SHにポジションを移した満城が詰めて先制に成功。
 吉見監督もさすがにここまで展開を読んでいた訳ではないでしょうが、ポジション変更がバッチリとはまった格好です。それにしても、満城君というのは不思議な選手です。彼の前には何故かこういうボールがこぼれてくるんですね。

 後半31分、相手に鮮やかなミドルシュートを決められて(あれはしょうがない)同点に追いつかれてしまいましたが、この時間帯になるとFC STEAMには足を攣る選手が続出。運動量が低下してようやく中盤にもスペースができてきたことで、長澤や小池がライン間の浮いたポジションで起点を作ることができるようになってきました。成岡と西松の両CHが粘り強く組み立てを続けますが、しかしゴール前を固める相手を崩すには至らない。

 いよいよドローを意識せざるを得ない後半アディショナルタイム、原田がファーに送ったクロスを満城が頭で落とし、PA内でシュートモーションに入ろうとした小池を相手DFが引っかけて倒し、主審は迷わずPKスポットを指さします! PKスポットに立ったのはわれらがバンディエラ、渡邉信平。思い切りよくゴール左隅に突き刺し決勝のゴール! スペリオ城北が本当に苦しみながらも勝ち点3を獲得し、開幕からの連勝を8に伸ばしたのでした。
 
【2015】SPERIO城北− FC STEAM【TSL-8】

 

第49回東京都社会人サッカーリーグ 第8節
中央学院大学つくし野グラウンド
2015/7/12 18:00 Kick Off

SPERIO城北 2 - 1 FC STEAM

■得点者
満城 ’68
FC STEAM #22 ’71
渡邉 ’80
 
 
 * * * *

  
 本当に苦しい試合でした。FC STEAMは2年前とはまるで別ものの、力強く戦うチームになっていました。2年の間に成長するのは自分たちだけではなく、対戦相手も同様に、あるいはそれ以上に成長しているのです。だからこそ、フットボールでは“停滞は後退と同義”だと言われるのですね。
 
 そしてこの試合の勝利は、交代選手やスタッフも含めた、クラブ全員の貢献があってこその勝利です。

 築が前半頑張ってくれたからこそ、後半にフレッシュな状態で成岡を投入できたわけだし、西松の落ち着いたビルドアップは攻撃のリズムを作っていく上でとても効いていました。
 PK奪取に繋がったのは途中から投入された原田のクロスだし、PKをもらったのも同じく途中出場の小池です。本当に交代で入った選手たちがそれぞれ頑張ってくれたのがわかります。みんな先発で出たい気持ちはヤマヤマだろうけど、よく準備していてくれました・・・。そしてその選手たちをピッチに送り出す吉見監督の眼力。

 もちろん、この試合には出られなかった選手もきっとベンチから声をかけてくれていたに違いないし、マネージャーの千春君はマメに給水ボトルを配置して選手の運動量を維持できるように心を配ってくれていました。そういう小さな気配りが、最後に試合の行方を分けたとも言えるのでは?

 こうして一人一人が自分のがんばれるところで、「違い」を作り出すために努力を続けることができれば、これからの更に厳しい戦いも、きっと乗り越えられると信じています。

 私たちサポーターも同じ思いで、少しずつ力を集めて、貢献を果たしたい。
 
 そして、今日は何と言ってもシンペー。

 ・・・いや信平さん。

 後ろから寄せてくる相手にフェイント一発かまして外してから、利き足じゃない左足で無回転ミドルとか、信平さんマジパねぇっす。

 あのPKんときも、信平さんまっさきにボールもってPKスポットに立ってましたよね。

 「男気」、っつうんですかね、ホント、あの背中みたらもう、一生この人についてくしかねーって、思ったっす・・・
 
 

   
 ――と、追わず口調がパシリの下っ端ヤンキー調に変わってしまうくらい、この試合でのシンペーの「勝負根性」には感服させられました。

 次節はホーム赤スポに戻って品川FCとの対戦です。ここで勝たないと今日の勝利も無駄になってしまいますから、きっちりと勝ち点3、9連勝を目指しましょう!

 

 


2015年7月3日(金曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@むさしのFC戦 守備の振り返り

カテゴリー: - yamaneko @ 22時58分10秒

 前回の記事では、むさしのFC戦における攻撃の側面を中心に考察しましたので、今回は城北の守備の方に目を向けてみたいと思います。

 守備のスイッチを入れるのはまずFW。ということで長澤、満城のDFラインへのプレスの様子を見てみましょう。

 4-4-2と3-4-2-1のマッチアップでは、前線で2対3の数的不利になるため、相手のDFラインでのビルドアップ阻害が難しくなりがち、という話を前回の記事でしたのですが、それに対してどのような対応が実際に行われたのかがポイントとなります。

 たとえば前半22分頃のこの場面。

1.城北が自陣右サイドでボールをロスト。このボールをライン際でむさしのの左CB#25が抑えます。これに対して長澤が猛然とプレスをかけ、中央の#15にボールを戻させます。

2.長澤はそのまま#15に向かってプレス、そして満城も寄せてきます。

3.ここでの満城のポジショニングは、逆サイドの#3へのコースを切りながら、GKへのバックパスも狙えるようなものとなっていて、実に効果的です。これで#15は前に蹴るしかなくなりました。このボールは十分に準備できていたヨネがヘディングで大きく前にはじき返します。

 このように効果的なポジショニングを行うことができれば、前線での数的不利という問題も、その影響を低減することが可能なのですね。

* * * *

 次は後半2分のこの場面。ルーズボールを抑えた相手GKから、右CB#3にボールが出たところです。

 満城は逆サイドのCB#25をマークし、長澤は中央のCB#15へのパスコースを切りました。この場面、FWの仕事としてはこれでまず十分でしょう。前線で闇雲にボールを追いかけるのではなく、少ない動きでパスの選択肢を制限する。これは攻撃のためのスタミナを温存するという点でも重要です。

 ボールホルダーの#3にはこの時点でプレッシャーがかかっていないため、シンペーはむやみに詰めずに間合いを取ります。一方で、もっとも危険な中央へクサビを入れるパスコースを切りつつ、サイドに開いたWB#18にパスが出れば即座にそちらに詰められるようなポジショニングを取っています。

 #3が右サイドの#18にボールを出すと、即座にシンペーが詰め、#18は#3にリターン。これを受けた#3は前方に大きく蹴り出しました。しかし、これも準備万端の上田がしっかりヘッドでクリアします。

 ただこの場面では、画像の中央、成岡の前にいる相手のボランチ#8が、CB#3からボールを引き出そうとして下がるのではなく、むしろ前方に入れられるロングボールのセカンドを拾うことを狙って前方に出て行こうとしています。だから、このロングボールはこちらがそう仕向けたというだけでなく、相手にとっても所定の狙いだった、とも言えそうではありますが。

 しかしいずれにしても、前方の選手の連動によって相手のパスコースを限定したことで後ろの選手は予測がしやすくなり、ボールに対して前を向いた状態でパワーを持ってチャレンジできるようになっていたのが、この試合での守備の強度の高さに繋がっているのは確かです。

* * * *

 つぎに注目したいのは前半16分頃のこの場面。

1.中盤の競り合いからボールが相手に渡り、DFとMFの間に位置したシャドー#7がボールを呼び込もうとしています。前回の記事で書いたとおり、これがDFとMFのライン間で浮いたポジションを取る3-4-2-1のシャドーの警戒すべき動きです。

2.ここでは、間受けを狙うシャドーを放置することなく、ヨネが果敢に前に出て圧力をかけ、動きを制限しようとします。しかしヨネが前進したことにより、DFラインには大きなギャップができました。むさしの左WBがこのギャップを狙える位置におり、危険な状態です。

3.そこで稲見がポジションを縦にスライドさせ、ヨネのポジションをカバーし、DFラインを3-1の陣形に整えました。問題が起こりそうな場所を的確に把握し、その穴を埋めにくる亮太のこの“気配り”はさすがです。

 DFラインだけでなくMFも連携して、一貫してチャレンジ&カバーを徹底することによって、ライン間で起点を作ろうとする選手に対して厳しく当たりに行くことができていたのも、この試合での守備の素晴らしかったところです。

 もちろん、試合全体を通してみればミスからピンチを招いた場面もありましたが、全員がその状況で被害を最小限にとどめるための献身的なアクションを行うことで、失点につなげず持ちこたえたことも素晴らしかった。中盤を省略して長いボールを入れてくる相手に対しての守り方を実戦で確認することができたのは、今後のリーグ戦にとっても貴重な財産となるはずです。この守備の強度をさらに高めていけば、自ずと目指す結果も手に入れることができるはず、そういう強い確信を抱かせるに足る、素晴らしい試合だったと言えるでしょう。


2015年7月2日(木曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@すばらしい勝利 むさしのFC戦

カテゴリー: - yamaneko @ 02時19分40秒

 この試合で全13試合のリーグ戦もいよいよ折り返しとなる7試合目となりました。

 “このむさしのFC戦こそ、今年のシーズンを左右する重要な試合になる”――と、私はだいぶ以前から想定していました。

 まず何と言っても、やはり都リーグの古豪・むさしのFCさんは個々の選手の質が高いです。前節、3ブロックにおける優勝争いの最大のライバルであるアローレはちきたを相手に試合終盤まぎわまで勝ち越しを許さず、大いに苦しめたことからもその戦闘力はうかがい知れるというものです。

 そして、TOKYO FOOTBALL に掲載された「むさしのFC−あきる野FC戦」の戦評を見ますと、3-4-2-1の布陣が今年のむさしのFCの基本布陣であるようなのですが、これが城北の4-4-2とは基本的に相性の悪い布陣であることです。3-4-2-1は4-4-2ゾーンDFへの対抗策として構想された布陣であり、まともに相対すると4-4-2の守備組織は様々な問題に直面することになります。

 まずDFラインではワントップと2シャドーの3人が4人のDFの中間にポジションを取るため、マークが曖昧になりやすいことがあります。また、DFとMFで構成する2ラインの間で2人のシャドーが浮いたポジションを取ることが多くなるため、ここで起点を作られた時にDFラインから一枚釣り出されると、それでできたギャップに残りの二人による侵入を許しやすく、非常に守りにくいのです。

 かといって、4-4-2の2ボランチが相手の2シャドーをマークしてしまうと、相手のボランチを自由にしてしまいます。これではゲームを相手にコントロールされてしまいます。

 そして前線では、2トップに対して3バックが数的優位を作っており、前からのプレスがかわされやすい。前からプレスがかからなければラインを押し上げて全体をコンパクトにすることができません。そうするとさらに2シャドーがライン間で自由に動き回ることになってしまいます。しかもFWに数的不利の状態でボールを追いかけ回させると、それだけで消耗してしまって攻撃時の余力がなくなってしまうことも心配です。

 4-4-2の守備陣形が3-4-2-1の用意するこうした罠ににまんまと嵌まってしまうとどうなるか? ――その最高の(最悪の?)事例が、ブラジルW杯での日本対コートジボワール(コートジボワールは4-5-1から3-4-2-1に移行する“可変システム”でしたけど)戦になります。

 ・・・思い出したくもないでしょ(´Д`;)

 という訳で、私はこの一戦のことを考えると、冗談抜きで夜も寝られないほど心配になっていたのです。それにまあ、一昨年も昨年もリーグ戦中盤で貴重な勝ち点を落として優勝を逃している城北ですし、このあたりの時期が一番危ないんですなぁ。前節の第一三共サッカー部戦もヒヤヒヤものでしたしねぇ・・・。

* * * * * * * *

 さて、この日の城北のスターティングフォーメーションはいつも通りの4-4-2。そしてむさしのFCはやはり3-4-2-1です。

 むさしのFCの攻撃の中心は、ここまでで5得点を挙げている#7吉田晃己選手と、3得点の#11吉田一貴選手。ただ、今節は#11の一貴選手の方が欠場しており、#9の郡選手が出場しています。

 ちなみに、下の図は先ほども言及した「むさしのFC−あきる野FC戦」の戦評の文章から得点シーンを推測して再現したものです。また、むさしのFCさんの公式サイトには過去の試合のレポートがあって、それによりますと第2節のFC INAHO戦での得点もほぼ同様と思われる形(サイドは逆の左サイドですが)から決めており、やはりこの形は得意なのだと思われます。

 FWがクサビのボールをに中盤に落として素早くサイドへ展開し、おそらくニアとファーに一枚ずつ飛び込んでくるような感じでしょう。前線の3人だけで攻撃が完結する、シンプルですが実に効果的な形です。そして、これはサイドバックが高い位置を取ることが多い城北にとっては非常に危ないパターンで、カウンターからこの攻撃を喰らうことには最大の警戒が必要です。

 また中盤で攻撃を組み立てることの多い#10の鈴木雄大選手がシャドーの位置にポジションをあげており、これがむさしの攻撃にどのような変化をもたらすか。

 さらにDFラインではかつてJFL時代の町田でのプレー経験を持つ#3山選手を初めとして、屈強で経験豊富な守備者が揃っています。単純にクロスをゴール前に入れるだけでは、やや城北に分が悪いかもしれません。

 ここらあたりが試合前の注目ポイントとなるでしょうか。いやー、それにしても事前に相手の情報が豊富にあると色々書けますなぁ。都リーグでは滅多にないことなのでうれしいです(^^)

では、試合の方はダイジェスト映像でどうぞ!

【2015】SPERIO城北−むさしのFC【TSL-7】

第49回東京都社会人サッカーリーグ 第7節
SPERIO城北 6 - 0 むさしのFC
2015/6/28 19:00
北区赤羽スポーツの森公園競技場

■得点者
成岡 ’27
田熊 ’28 ‘42
長澤 ’38
渡邉 ’41
稲見 ’50

■アシスト
渡邉1 満城1 稲見1 長澤1

* * * * * * * *

 映像でご覧いただいたとおり、私の事前の心配を吹き飛ばしてくれるような見事な快勝劇となった訳ですが、その要因を分析していくことにしましょう。

 むさしのFCがガッチリ守って少ない手数のカウンター、というのを基本路線としてくる以上、城北がボールを持てる展開になるのは、ある程度予想がついていました。まあ、ただ逆に持たされて引っかけてカウンター、ってのが一番コワかったのですが。

 で、3-4-2-1フォメは相手にボールを回される守備の局面では、WBがDFラインに入り、2シャドーがSHの位置まで下がって、5-4の守備ブロックを構築すると考えられます。こんな感じです。

 この形に押し込めてしまえば、前線にはFWが一枚残っているだけですから懸案であるカウンターの脅威も低下します。ただ、やはり人数をかけて守られることになるので、この堅陣をどうやって崩すか、そこが焦点となります。

 たしかに5-4-1で待ち受けられると崩すのはなかなか大変そうです。ですが、実際は2シャドーがSHの位置に下がってくるには、それなりに時間がかかりますし、疲労などで運動量が低下し、この位置に戻ってくることができなくなれば、後ろの形は5-2になって、ボランチの横に大きなスペースができます。

 それにシャドーに入る選手は基本的に攻撃の選手なので、守備意識が高くない場合も往々にしてあるので、このスペースのケアや相手のマークが不十分になりがちです。ここを使いたい。

 したがって、ボールを奪ったら相手が5-4のブロックを形成する前に、すばやくこのスペースにボールを運んで起点を作る。そしてFWやCHが素早くフォローに入って数的優位を作りつつ、WBの裏のスペースやバイタルエリアなどの急所を攻略していく、というのが5-4-1攻略の基本路線となります。成岡やモッチーの精度の高いフィード能力があれば、これは十分可能なはずです。そして、それが完璧に嵌まったのが後半開始直後にシンペーが決めた4点目、ということになります。こまかくプロセスを見てみましょう。

1.キックオフ直後、成岡から稲見にロングフィードが出ます。このように、すばやくサイドの高い位置に起点を作る。

2.むさしの左WBが稲見のマークに向かったため、背後に大きなギャップができています。

3.稲見がこのギャップにパスを出し、満城がこのボールを抑えます。

4.満城への対応のため左CBが釣り出されました。長澤が満城のフォローに入りボール付近で3対2の数的優位を確保。亮太は少しランのスピードを落として満城に向かって戻っていくWBから距離を取り、浮いたスペースに留まります。ここで重要なのは、先ほども触れたように、むさしの左サイドのシャドーの動き。稲見のマークに行かず、高めの位置に留まっています。

5.満城は長澤にボールを預け、長澤はワンタッチでフリーの稲見に戻します。左シャドーはこのボールの動きを見て稲見に向かいますが、有効な寄せとはならず、ゴール前へのアーリークロスを許すことになりました。 

 ゴール前にはシンペーが一枚しかいないのですが、この時のシンペーの位置取りが素晴らしかったですね。完全に右WB#18の真後ろ、いわゆる「6時方向」に位置をとり、相手から完全に気配を消しています。

 #18は一度首を振って状況を確認するのですが、左手の「9時方向」しか確認していないため、真後ろのシンペーに気がついていない模様。

 クロスが入ってくると一気にシンペーは相手の前に出てボレーでねじ込みました。サイドからのクロスではボールと相手を同時に視野に入れることが難しいのですが、ここまで完全な背後から飛び出されたらDFとしてはタマらんでしょう。シンペーのボレーはキレイにミートできた訳ではありませんでしたが、逆にそれが相手GKの予測を裏切る形になって、見事にゴールゲットです。

 4点目が一番キレイに崩せていたので今回は4点目で説明しましたが、、実は1点目、2点目、3点目も、崩し方は色々でしたが、サイドの高い位置で起点を作り急所のスペースを攻略していくという点では共通していました。城北イレブンは《5-4の守備ブロックを粉砕せよ》という課せられたミッションを見事に完遂したと言えるでしょう。

 このむさしのFC戦は、本当に内容が盛りだくさんで、他にもいろいろと書きたいことが多いのですが、すでに随分長々しく書いてしまっていますので、今日はこの辺にしておくことにします。ではまた〜。


2015年6月16日(火曜日)

勝手にSPERIOクロニクル @対第一三共サッカー部戦

カテゴリー: - yamaneko @ 17時08分06秒

 スペリオ城北、第6節の対戦相手は第一三共サッカー部。

 リーグ戦での対戦は相当久しぶりです。スターティングラインナップは以下の通り。

 試合の経過はいつものように動画でご確認いただくとしまして、いやー、実に何とも、きわどい試合を演じてしまいました。

 後半ATに満城が成岡からのクロスをファーで詰めて決勝ゴールをあげることができましたが、試合終わった時、膝が震えましたよマジで。満城君は“何か”を起こすね。なんというか、以前城北に在籍していた選手で言うと、根立と川口を足して二で割ったような選手です。

第49回東京都社会人サッカーリーグ 第6節
2015/6/14 16:00
北区赤羽スポーツの森公園競技場

SPERIO城北 3 - 2 第一三共サッカー部

■得点者
‘12 小池
‘48 第一三共 #17
‘51 第一三共 #15
‘55 成岡
‘80 満城

■アシスト
満城1 小林1 成岡1

* * * *

 さてサッカーの試合中、しばしば「集中しろ!」という声を聞きます。これは選手もサポーターもよくかける言葉なのですが、私は以前から「集中しろ!」って言われるとかえって無駄に緊張しちゃうんじゃないかなー、とボンヤリ思っていたことがあります。

 そもそも「集中しろ!」と言われて、心の中でただ「集中!集中!」と唱えているだけでは念仏とさほど変わりません。何に対して集中していくべきなのかがわかっている必要があるはずです。

 そして「集中しろ!」というのをしっかりと言語化するなら、「今の局面で自分がするべきタスクに“集中しろ!”」ということであるはずですよね。

 つまり、まずゲームの局面を正しく認識して、自分の遂行するべきタスクがはっきりとわかってはじめて、それにむけての集中力というものが発揮できるようになるのだと思うのです。

 自分のやるべきことがわかれば、少なくともプレーを行う上での「迷い」はなくなりますし、迷いがなければ「不安」も生じず、プレー精度も向上する・・・はずです。チームでの戦術的な約束事を決める意義もここにあります。各自のタスクを明確にするのです。

 ただサッカーにおける状況認識というのは、ボールの状態、自分がマークすべき相手、その周囲にいる相手選手、近くの味方の位置、遠くの味方の位置、点差、時間帯など実に多くの要素から成り立っていて、しかもそれが刻々と変化します。

 さらに、こうした大局的な認識をベースに、自分の身体をどのように使ってどういうプレーを選択するか、というミニマムな選択も一瞬でしなくてはなりません。ものすごい情報処理量です。しかもそうした知的な作業を心拍数が150から180の間で上下する運動強度のなかで行うのです。すげー。

 と、いう訳で、こうした情報処理を行っていくためには、言葉を用いた「 思考 」では追いつけません。視覚で収集した大量の情報を一瞬で処理する「 直観 」が必要となります。直“感”じゃないですよ。直“観”です。

 だからこそ、ゲームの中で起きうる様々な状況を想定した練習の反復が重要なのですね。そうすることで< 認知 → 判断 → 実行 >という処理プロセスをパターン化して身体に落とし込み、< 認知 → 実行 > へと処理をショートカットすることができれば、プレースピードの向上につながります。

 また、「こういう時はこうする」というように、長年のプレー経験によって処理パターンを蓄積し、状況に対する多様な「解答」を多く持っているベテラン選手が貴重な理由もここにあります。

 さてしかし、人間の視野というのは、左右方向にせいぜい120度、つまり360度の三分の一程度しか見えないわけで、ゲームの全体状況を俯瞰で把握する、というような芸当はまったく容易なことではありません。だから常に首を振って多くの視覚情報を収集すると同時に、常に状況認識を最新のものに更新していく必要があるわけです。

 “大空のサムライ”として有名な日本海軍の撃墜王、坂井三郎は、

 「見張りは前が2、後ろが9。初心者は、撃つ前に後ろを見よ。上級者は、撃つ前に後ろを見ないですむよう周囲の状況を把握しておけ。」

 との名言を残しています。「2+9は11で、数が合いません」とか思った奴! 前に出ろ! 歯を食いしばれ! 生き残りたければ首を振れ、と言っておるのだ!

 えーと、途中でキャラが崩壊してしまいましたが、話を戻します。

 戦闘機での空中戦で一番危ないのは真っ直ぐ飛んでいる時だそうです。だからパイロットは常に機を横滑りさせたり、旋回したりして敵から自機を狙われにくくします。しかし、敵機を照準して射撃に入る時だけは、どうしても真っ直ぐ飛ばなければならないし、視線を照準器内の敵機に集中させなくてはなりません。しかも敵機の後にいることから、自分が“優位”に立っていると思っている。だから、実は周囲が見えず、油断が生じやすいこの瞬間が一番危ない。常に後に気をつけろ、というわけです。

 サッカーでも、イニエスタあたりの変態は別として、ボールを扱う時はやはり視線がボールに集中します。周囲を見られない瞬間はあるわけです。DFがボールホルダーに詰めてくるのも、こういう時ですね。そして人間の視界は限定されていますから、背後の動きはどうしたって見えない。こういう時は周囲の仲間が「声」で状況を教えてやらなくちゃいけません。

 やっと今日の本題に到達しました。長々前置きを書いてきましたが、先日の試合での城北のプレーの問題点は、「声が少ない」ということだと思うのですよ。

 私はいつも試合のダイジェスト動画を作っていますが、今回の試合の動画を作っていて、非常に興味深いものに遭遇しました。これは前半の給水タイムが終わってすぐのプレー。相手にPKを与えることになった危険な場面の音声がグラフ化された画像です。

 おわかりいただけますかね? サポーターも含めて、赤スポ全体が奇妙なほど「シーン・・・」としているのです。これ、いつもサポーターが馬鹿騒ぎしている赤スポでは本当に珍しいんです。まるでエアポケットのような一瞬でした。

 この局面では、モッチーには背後のFWの動きは視野に入りません。分かっていたらGKに任せようとはしなかったでしょう。「マノン!」でも「背負ってる!」でも「セーフティ!」でも、何でもいいから、周りが一声かければ、何事も起きない程度の局面でしかなかったはずです。

 それと後半、原田の横パスがカットされて同点に追いつかれたシーンですが、DFラインで横パスをカットされ、その後自分の背後から出てきた相手にボールを奪われて失点まで持って行かれたという結果だけを見れば、確かに原田のミスではあります。

 しかしこれを「個人のミス」として責任を一人に帰すべきではないでしょう。また同様に、「キリカエ!キリカエ!」とおなじみの呪文を唱えて問題点を放置してしまっても、成長には繋がりません。

 原田がボールを持った時、どれだけ味方がパスコースに顔を出してやれていたのか。

 原田にもっと安全な選択もあることを教えてやれていたのか。

 そこを省みてやる必要があるはずです。

 まず築からリターンを受けると、原田はボールをトラップしつつ周囲の状況を視認します。

 サイドに開いていく満城は見えますが、やや遠いか。築へのリターンは#17に切られていますし、#4がすぐに寄せに来そうなので苦しいパスになりそうです。

 そこで原田は切り返して逆サイドへの展開を試みます。切り返した瞬間に逆サイドでフリーの稲見が見えたはずです。

 このあと視線をボールに向けてドリブルします。

 パスを出す瞬間も視線は下。

 そのため、周囲の状況把握が更新されておらず、一瞬前のもののままになってしまっていて、パスコースを切ろうとして動いてくる#9の動きが認識できていません。原田がパスを出して顔上げた時、#9が目の前にいてきっと血の気が引いたことでしょう。さらに背後に置いてきた#17番が死角から飛び出してます。

 原田が初めに築からリターンを受けて、切り返してドリブルに入る間に、モッチーは原田の斜め後のフォローポジションを取るために動いていましたが、他の周りの選手は割と棒立ちになってしまっています。

 もっとマークを剥がしてパスを受けてやれるように動いてあげないと。

 ここでは田熊君がもう少し落ちて、受けに行ってやってもいいかも。田熊君も本職はサイドバックだから、同じサイドバックとして、ここは助けに来て欲しいのも察してやってほしいところ。

 そしてモッチーやホリケンは「下げてもいいぞ!」と原田に声をかけてやって、新しい情報を入れてやっていたかどうか。

 ここで再び第二次世界大戦における偉大な撃墜王の言葉を引用しましょう。

 「僚機を失った者は戦術的に負けている」

 これぞエースの中のエース、352機を撃墜したドイツ空軍のエーリヒ・ハルトマンの言葉です。彼は1405回の出撃の中で、一度も戦友を戦死させることはありませんでした。

 たとえ近くにいたとしても、連携が取れず、「チーム」として協力を実現できていなければ、孤立して一人で戦っているのと同じです。それはですでに「戦術的に負けている」のです。

 そして事故というのは往々にして「・・・だろう」という楽観的な予測に基づいて行動してしまう時に発生します。いわゆる「だろう運転」ですね。それに対して事故を防止するために重要なのが「かもしれない」という予測を持つことです。こうした予測に基づいてポジショニングを修正したり、味方にコーチングをかけたり、といった本当にごくごく基本的なことをもう一度改めて徹底することが、今後より実力のあるチームとの対戦が続リーグ戦では求められるはずです。何と言っても「サッカーはミスが9割」のスポーツなんですから。

 いや〜、対戦相手が第一三共だっただけに、いい“薬”になりましたねぇ(ドヤッ)

 って、全然面白くねーよ!

 とにかく、ホント、勝てて良かったよ・・・


2015年6月2日(火曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@新 日本人が知っておくべきSPERIO城北の3大ゾーンDF崩し

カテゴリー: - yamaneko @ 22時32分58秒

 前回のエントリでは何だか相手チームのことばっかり褒めてしまったので、今日はあらためて城北のいいプレーに注目していこうと思います。

 前回、割と「組織」 vs 「個の力」のような筋立てで記事を書いたのですが、城北が「組織」として相手の守備を崩せてなかった、という訳では決してありません。

 特に、後半の立ち上がりに3回のチャンスを立て続けに作った場面では、効果的な4-4-2ゾーンディフェンス崩しを行うことができていました。それをご覧いただきたいのです。(ダイジェスト動画だと3:35あたりからになります。)

 相手のフォーメーションがどうであろうと、最優先に攻略すべきスペースはDFラインの裏のスペースです。そして次がいわゆるDFラインとMFのラインの間、いわゆる「バイタルエリア」ですね。ただ当然ここは相手も注意深くケアしてますから、ここにいきなりボールを入れるのはなかなか難しい。

 そこで有効に使いたいのが

 機FWとMFの間。

 供SHとCHの間。

 ということになります。(本当はDFラインの裏、というのも細分化していくべきなのですが、今回は割愛)

■その1 後半1分:「間受け」

 画像の場面は、左サイドの小林築が原田にボールを戻し、さらにモッチーまで戻ってきたところです。

 相手の守備網のスライドが間に合わず、田熊が中央でフリーになっています。まずこれが≪帰笋FWとMFの間のスペースです。

 相手FWの守備への献身性にもよりますが、ここでは比較的楽にボールを保持できます。城北では成岡がボールを捌くことが多い場所ですね。

 このスペースを経由してボールをサイドに散らし、相手の守備のブロックをスライドさせていく。これをくり返せば相手は相当走らされることになって消耗しますし、スライドが追いつかないと、ゾーンDFの編み目が緩くなり、使えるスペースが広がってくることも期待できるでしょう。

 さて田熊がボールを持ったところで相手のCHが1枚田熊に寄せてきます。これはゾーンディフェンスのセオリー通りの動き。ただNTT DATAの4枚のMFはやや直線的になってしまっており、斜め後のフォローポジションには若干つくことができていません。

 そしてここで田熊はモッチーからのボールを遠い方の足でトラップ、体を使ってボールを相手から隠しながらターンして、前を向くことに成功します。ここで前を向けるのは実に大きいです。先ほど述べたとおり、MFのラインが直線的になっていて「深さ」がないため、ここで一人剥がされるとNTT DATAには<二の矢>がありません。前方にはがら空きのバイタルエリア。

 そして前を向いた田熊は即座にサイドに開いたヨネに展開。これは体の向きからも自然なプレーですし、何よりスピーディです。ヨネは稲見とワンツーから縦に突破。横(右)→横(左)→縦と矢継ぎ早にボールを動かして、相手のDFを大きく揺さぶっていきます。

 この時、稲見が使ったポジションが≪侠笋SHとCHの間、ということになります。ここで起点を作れれば、DFラインの裏のスペースの攻略まであと一歩、チェックメイトです。これがいわゆる「間受け」。ゾーンDFを破るために重要なポジショニングです。

 稲見の周囲のスペースが非常に広くなっているのがおわかりかと思いますが、田熊がマークを剥がしてフリーで前向いたもんだから、DFはラインを上げられないんですね。「ボールホルダーにプレスがかかっていない時はラインを下げる」、というのはゾーンDFの基本です。だからラインを押し上げてスペースを小さくすることができません。

 しかも、田熊がターンして顔を上げた時、稲見は右のヨネに向けて指をさしていて、自分は一番近いDFから数歩、離れる予備動作を入れてます。これで完全に4人のDFが構成する四角形の中でヨネからのボールを受けられる位置についたわけです。

 つまり私が強く訴えたいのは、「亮太はたまたまそこにいたわけではなく、しっかり意図的に有効なポジショニングを実現していたのだ」ということなのです。

 中央では小池がDFの背後を狙って視野から消える予備動作を開始しています。ヨネは相手DFに対処する余裕を与えず、ダイレクトでアーリークロスを中央へ入れました。これもいい判断です。小池はフリーでヘッダーを打ちますが、枠を捉えられませんでした。

■その2 後半3分:「縦パス」と「ギャップ」の活用

 中郷が前線に送ったフィードをNTT DATAのCBが跳ねかえして城北陣内まで戻ってきます。画像は、このボールをヨネが自陣から前線の小池にダイレクトでクサビを入れようとしているところです。

 さりげないプレーに見えますが、ヨネのビルドアップのセンスはさすがです。これで中盤の守備者は全員置き去りになりました。ゾーンDFが敷く守備の網を突破する上で、やはり縦パスは不可欠です。

 さらにこのクサビを受ける小池の動きが実にいい。

 少し自陣方向に降りながら受けるのですが、この動きにマーカーが付いてきます。というか、DFラインの前、つまりバイタルエリアで自由にクサビを受けるのを放っておくわけにはいきませんから、付いていかざるを得ないのです。

 すると当然DFラインにギャップが生じることになります。本来、DFが一枚前に釣り出された時には、周囲の選手が中に絞ってカバーに入らないといけないのですが、ヨネのパスの展開が早すぎて、その動きが間に合っていません。この裏のスペースを狙って満城が走り出そうとしています。

 さらに、小池はこのボールをフリックで後ろのスペースに流します。ゾーンで守るDFラインには必ずこうしたギャップができることを見越した素晴らしい判断です。満城は左サイドの築にパスを出して築がシュート。これは枠を外れましたが、素晴らしい速攻です。

■その3 後半4分:「フリック」

 画像は築のシュートが外れ、相手のGKからリスタートした場面。ゴールキックをモッチーがヘディングで前にはじき返そうとしているところです。

 ちなみにこの場面では、城北のDFラインは理想的な3-1のカバーリングを行うことができています。このクリアボールがバイタルエリアにいる小池まで通ります。

 クリアを単なるはね返しで終わらせず、味方に繋いだモッチーも素晴らしいのですが、やはり小池の事前のポジショニングも素晴らしい。動画で確認すると、GKがキックの助走に入った時に、数歩動いてしっかりバイタルエリアの中央にポジションを移しているのです(この時満城が前線に張ってDFラインを牽制してくれているので、小池が浮いた位置を取ることができている)。そしてこのボールを再びフリックして成岡に流します。

  「縦のスピード」を強調するハリルジャパンもフリックやスルーを多様する傾向があることからもわかるように、フリックは攻撃スピードを加速させることを可能にします。これは敵の守備陣形が整う前に攻撃を完遂するための、非常に有効な武器だといえるでしょう。

 ちなみに、ゾーンディフェンスを崩す上でのフリックの重要性について、サッカーライターの西部謙司さんが次のように解説しておられます。

 ・・・なぜフリックが決定的かというと、ゾーン攻略の定石である「間につなぐ」は諸刃の剣だからだ。確かにゾーンには隙間が生じやすく、そこへつなげば守備のズレとスペースが生じやすい。しかし一方で、守備側はボールを受けた選手を囲い込んでの奪取を狙っているのだ。「間へつなぐ」は肉を切らせて骨を断つ攻め方で、守備の網が収縮しきる前にボールを逃がさなければ、文字どおり網に絡め取られてしまう。(中略)
 ゾーンの隙間にパスを入れても、普通に止めてパスをするだけではカットされる危険も大きい。攻略の定石となっている「間へつなぐ」パスワークで、フリックは非常に重要なテクニックになっている。
(西部謙司,『サッカーで大事なことは、すべてゲームの中にある』14p,出版芸術社,H25)

 この場面などまさしく、ワントラップしてボールをコントロールしようとすると周囲のDFに囲まれてボールを奪われる危険も大きくなります。ですから、ここでのフリックの判断はやはり適切だし、何と言っても、このプレーでバイタルエリアで前を向いている成岡にボールを渡すことに成功したわけです。

 ここでNTT DATAのCBは、ボールがフリックによって斜めに動いたこと、そして満城が一度外に向かって抜けようとする予備動作を入れたことで、意識と体重を外に向けざるを得ませんでした。いわゆる「矢印が出てる」状態になっています。それを見越して成岡はその背後にスルーパスを通すのです。相変わらずドSですね。

 ボールはコロコロとゆっくり転がっているのに、DFは体重移動に時間がかかり、このボールをカットすることができません。その後は満城がGKと一対一となりシュート、しかしこれは惜しくもクロスバーに当たってしまいます。

 と、スペリオ城北は実に効果的、かつ組織的に相手の守備を破ることに成功していたのだと、有権者の皆様に、強く訴えたいのであります。

* * * * 

 ただ・・・

 こんだけチャンス作ったんならちゃんと決めなきゃダメじゃない!!(byマツコデラックス)

* * * *

 とはいえ、成岡のFKは別として、相手の攻守の切り替えの瞬間を付いた田熊の2点目、満城の引き起こすパルプンテな出来事から生まれた3点目&4点目、築がFKを素早くリスタートして、相手に準備する余裕を与えなかった5点目、組織で守る相手を崩すには、

 「ピッチ上に組織が想定してないカオスを作り出す」

 という4つめの手段がとても重要、ということになるんでしょうね。

 尻切れトンボになっちゃいましたが、このへんで。

 
 

 

 


2015年6月1日(月曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@NTT DATA FC戦

カテゴリー: - yamaneko @ 19時12分49秒

 全13試合を戦うリーグ戦もすでに4試合を消化し、いよいよ中盤戦にさしかかってくることになりました。このあたりからは実力中位のクラブとの対戦になってきます。

 今節の対戦相手はNTT DATA FCさん。昨年は2部1ブロックに所属し、3勝5敗5分けの7位という成績でフィニッシュしています。13得点という数字はブロック最少ながらも、19失点という堅守(ブロック中5位)で、しぶとく勝ち点を拾ってこの成績を残してきたようです。

 ですが、前節に行われたアローレはちきたの対戦では何と7失点を喫しての大敗。こうなってくるとNTTさん、一体守備が固いのかユルいのか、よくわかんなくなってきちゃいますね・・・。

 両チームのスターティングフォーメーションは以下の通り。NTT DATAも4-4-2の配置のようで、マッチアップでズレが生じる場所はありません。

 磯部が3ヶ月チームを離れることになり、長澤が肩を負傷中ということで、FWの先発がどうなるかが大注目だったのは前回のブログでも書きましたが、吉見監督は満城&小池というフレッシュな二人を送り込んできました。

 小池選手はこれがSPERIO城北での公式戦初出場となります。そして前回の出場では右SBに入っていた田熊ですが、今節はCHでの出場。

【2015】SPERIO城北− NTT DATA FC【TSL-5】

 城北は序盤の早い時間にいくつかあった決定機をモノにすることができず、ここを何とかしのいだことでNTT DATAが落ち着きを取り戻してくると、試合は膠着した展開を見せるようになりました。この膠着の要因は、NTT DATAの4-4-2ゾーンによる守備組織が非常に効果的に整備されていた点にありました。チャレンジ&カバーがよく遂行されていて、城北の攻撃をアタッキングサードで詰まらせることに成功していました。

 感心した場面はいくつもありましたが、たとえばこの場面。前半20分ほどです。

 右サイドで田熊がボールをインターセプトしたところ。
 この時、ボールサイドのSBはセオリー通りに高い位置をとっているとともに、NTT#10がしっかりCHの斜め後、フォローポジションを取っている点がいい。

 そしてこのSBと#10が早めに田熊に寄せてきます。

 中央へのパスコースが消され、サイドも切られているので、田熊は逆サイドへの展開を余儀なくされます。

 この場面は稲見にボールが渡ったところ(この時間帯では小林と稲見がポジションを入れ替えていて、稲見が左にいる)。

 大きなサイドチェンジが効を奏し、左サイドには大きなスペースが広がっており、そこをめがけて原田がオーバーラップをしかけようとしています。

 稲見はシンプルに原田にボールをあずけますが、NTTの横へのスライドが非常に早く、原田はサイドで詰まることになります。

 この場面、サイドで詰まった原田が一旦稲見にボールを戻すところです。

 NTT DATAとしては、サイドチェンジは許しましたが、城北がそれに要した時間を使ってここまで守備陣形を立て直しているわけです。DFラインも果敢に高い。しかし、田熊に寄せていた#10はその後転倒したりしていたので、まだふさぎ切れていないスペースが残っていて、成岡がそのスペースを狙って動きだしています。

 しかし#10が何とかこのスペースに戻ってくることに成功。それによって完成したのは・・・

 まさに4-4-2ゾーンディフェンスの理想型!

 成岡に対して#10が厳しく当たりにいったことでさすがの成岡も有効なプレーをすることができず、結局、NTT#7がボールを回収することになりました。これだけしっかりと高い守備意識で組織を作られると、はやりそう簡単には崩せないのですね。これが「セオリー」の力というものなのでしょう。いやあ、いいチームだよNTT DATA。ディシプリンの高いチームです。

 参考動画:【図解】4-4-2・ゾーンディフェンスのケーススタディ【サッカー】

 ・・・たぶん、この20分くらいまでの時間って、序盤の決定的な場面もしのいだし、守備が機能しだして相手にも決して自由にはやらせていないし、遠目からとは言え何本かシュートも打てているしで、NTT DATAの選手たちはきっと「十分にやれている」という感触をつかみ始めていたのではないかと思うのですよ。

 しかし、そこで出てくるのがこの男。

 成岡宏亮。

 FKならもうゾーンディフェンスも何もあったもんじゃない。枠を外れるんじゃないかという高さから急激に曲がって落ちてきます。すげぇ。ただひたすら、すげぇ。 相手からしたら理不尽とさえ言える一撃。ただ敢えて言うなら、壁2枚は少なすぎたかもね・・・(にしてもこの壁近くないすっか?)。

 その直後、全体が攻撃に移ろうという最悪のタイミングで米口に高い位置でボールをカットされ、中盤の底から前線に飛び出してきた田熊を捉まえきれず、立て続けに2失点目を喫するNTT DATA。

 さらに満城が頭でそらしたボールに自分で追いつくという「一人でポストプレー」から独走。ただ満城のファーストタッチは完全に大きすぎて、飛び出したGKが十分に処理できそうだったのですが、GKのクリアボールが味方DFに当たって満城の前にこぼれるというアンビリーバブル発生。これを満城が押し込んで3点目。

 城北のこの2つのゴールは、どちらもクリアしようとしたボールが城北の選手の目の前に落ちてくるという、かなり運の要素の強いもので、NTT DATAとしたら「どうしてこうなった!?」という失点だったろうと思います。

 ただ一方で、2点目はゾーンの隙間に巧みに入り込んで突破する田熊の戦術的センス、そして3点目は満城の尋常ならざるスピードという個人の能力があってこそ実現できた状況であったことも確かで、組織を破る「個の力」というものを感じさせられた試合でありました。そして、やはりこのチームの守備を打ち破って7点取ってるアローレはちきたの「個の力」というものも、十分な警戒が必要、ということになります。

* * * *

 小池や田熊のなど新加入選手のパフォーマンスについて、それぞれもっと触れていきたいのですが、すでに十分長い文章になってるし、ちょっと時間がありませんので、今日はこの辺で。どうもすみません。


2015年5月19日(火曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@タイガーサッカークラブ戦

カテゴリー: - yamaneko @ 19時15分14秒

 SPERIO城北、今節の対戦相手はタイガーサッカークラブさんです。このクラブは2008年に城北が3部で優勝を争った相手。その時の試合レポはこちらです。

 勝手に「ランシールズ戦記」 クライマックス!(2008/10/12)

 これ読むと、結果としては勝ったものの、試合内容では相当押されていたのがわかります。正直、2部で再び相まみえることになろうとは思いもしなったのですがね。それは相手も同じかも。それにしても7年も前の文章を読むのは恥ずかしいですなw

 さて、例によって今日も相手の情報はほとんどありません。スターティングフォーメーションは4-5-1っぽい感じでしたね。

 一方城北のフォーメーションは慣れ親しんだ4-4-2。しかしメンバーは大きく変えてきました。ポジションをめぐるチーム内競争が激しくなっているのが如実に伝わってきます。

 スターティングメンバーに長澤の名前がありませんが、何と休日のフットサルで肩を脱臼したとのこと。競り合いの多いポジションだけに脱臼がクセになるといけませんから、ここはしっかり治してもらいたいことろです。というわけでこの日は磯部と、前節で城北加入後の記念すべき初ゴールを挙げた満城が前線でコンビを組みます。

 さて試合のおおまかな流れは例によって動画でご確認いただくとして、いろいろとプレーのディテールに注目していきたいと思います。

 相手は4-5-1のワントップですから、普通にしてるだけでもDFラインは数的優位です。しかもFWの#17番は割とボールを追ってくるけれども、トップ下の#10がそんなに積極的にプレスをかけてこないので、城北のDFラインでのボールまわしは安定してました。それに成岡やキズ(小林築選手ね)が折良く加わってくるのでここでの優位は盤石でした。

 で、城北の最終ラインへのプレスを放棄するとモッチーの高精度のフィードがばんばん飛んでくることになります。先制点の起点となったのもこれでした。モッチーからヨネへの正確なサイドチェンジパスです。特にこの場面、城北陣内でのスローインからのリスタートでしたから、相手はスタートポジションでセットした状態になっていて、よけいにプレスにこられなかった。

 ヨネにボールが出るのを見計らって稲見が右サイドタッチラインまで大きく開いて幅をとります。

 その動きに左SB#4が引っ張られていったので、#22との間のスペースが大きくなりました。ヨネは前方の稲見にパスをつける。#4と#22の間にできた大きなスペース目指して磯部が#22の背後の死角から一気にスプリント。磯部は本当にこういうスペースを見つけて使うのが上手い。

 急に磯部に前に出られたので#22もスピードを上げて追走しますが、磯部のポストプレーを妨げるにはいたらない。

 磯部は稲見から受けたパスをワンタッチでヨネに落とし、ヨネもワンタッチでDFラインの裏にスルーパスを通す。この辺のパスセンスはまさにヨネの真骨頂。

 このポストプレーで局面に絡んでいたタイガーの4人のDFは全員ボールに目が行ってしまった。

 パスアンドゴーで#4の背後を走り抜ける亮太。#4も追走するがボールを見ていた分だけスタートが遅れているため、すでにトップスピードに乗っている亮太に追いつけない。

 亮太はゴール前にキーパーとDFがともに触れない絶妙な精度のグラウンダーのクロスを送る。ゴール前では満城がDFの背後からギャップに抜け出して見事に合わせてゴール!

 とまあ、プレーに絡んだ選手がそれぞれの良さを存分に発揮した先制点でありました。

* * * * *

 続いて2点目。ここでもモッチーのフィード能力の高さが光りました。

 相手ボールのスローインからのリスタート。城北左サイドから入れられたボールを#10が中でフリック。このボールをモッチーがインターセプトするやいなや、即座にズバッと縦パスを磯部まで通します。

 パスコースに顔を出した磯部もまたエライ!

 磯部はワンタッチで成岡に落とす。そして成岡のファーストタッチがまた絶妙。DFの足の届かないところに置いてスライディングもかわすと、開けた局面は4対2。

 ここで成岡に前向かれたらかなりヤバいです。岡田、満城、磯部がDFラインの裏をめがけて一気に動き出す。

 しかし成岡には#5がマークについて最も危険な中央へのパスを防ぎにくる。そこで成岡が選択したのは大外をフリーで駆け上がってくる稲見。

 この辺の視野の広さがさすがの成岡。しかも、ここで大きくサイドを変えたことは、PA内に人数を揃える時間を作る効果もありました。稲見のトラップはやや大きくなってDFに対応されましたが、こぼれ球を満城が押し込み2点目。

 これを7点分やってるといつまでたっても終わらないのでこの辺にしておきますが、特筆したいのは磯部のチャンスメイクへの貢献です。

 この試合では得点こそ決められなかったものの、いかに磯部の気の利いた動きが城北の攻撃を活性化しているかおわかりいただけたでしょう。

 さらに言うと、今年の城北はセットプレー、特にショートコーナーからの得点が多いんですが、これもキッカーと磯部のコンビネーションだったりします。2節のJGFC戦の2点目、3節のC.A.REAL.TOKYO戦の2点目、そしてこの試合の4点目です。実は全部磯部がからんでます。ラストパスの一つ前、二つ前で決定的な場面を作るお膳立てをしていたのが今季の磯部なのです。

 その磯部ですが、この試合をもってモンテネグロに移籍・・・ではなく(笑)、教育実習など学業のために3ヶ月間チームを離れることとなりました。どうかそちらも存分に頑張って9月には元気に帰ってきて下さい。その頃にはきっと優勝争いの真っ最中のはずですから、かならず磯部君の力が必要になります。待ってますよ〜。いろいろ忙しいとは思いますが、どうかコンディションをあんまり落とさないでほしいかも。

 というワケで、昨シーズンから爆発的な破壊力でゴールを量産してきた長澤&磯部のツートップは、磯部の学業専念と長澤の負傷離脱のためしばらくおあずけ、ということになってしまいました。この試合で見事にハットトリックを達成した満城は、十分今後の目処が立ったと言えますが、さて相方をどうするか・・・。

 私としては今年の新加入選手で、地元赤羽岩淵中出身にして、高校サッカーの強豪校・実践学園で9番を背負っていた小池将史選手のプレーをぜひ見てみたいところですが、同じく新加入の関川直希選手、そしてこの人を忘れちゃいけない、チーム最年長の山本勉選手も当然ポジションを虎視眈々と狙っていることでしょう。磯部と似たようなチャンスメイクの役割を期待するなら、西松を前で使ってみるのも面白い気もします。今後、吉見監督がどういう選択をしてくるか大いに注目です。

 いや〜、書きたいことが多くて困る。岡田選手の移籍後初ゴールはDFの動きに冷静に対応した実にいいシュートだったですし、稲畑のサイドバックの守備の固さはリリアン・テュラムみたい(古いかw)だし、成岡は・・・もうとにかく 「 The 成岡 」 だしw

 そんな中でも、やっぱり一番「おめでとう」を伝えたいのはホリケンでしょう。

 膝の大きな故障で2年ちかくプレーできなかったホリケン。今シーズンようやくプレーできるようになって、途中出場や練習試合で体力・筋力を回復させながら、ついにスタメンに帰ってきてくれました。
 相手のクサビを潰しにいく出足の速さ、寄せの厳しさを見るにつけ、今日の試合にかけるホリケンの意気込みがビリビリと伝わってきました。特にすごかったのはこのシーン。

 GKの右SBへのスローからゆっくり左へとボールを動かすタイガーSC。磯部の前プレがかわされ、その後はポジションが崩れているので間合いをはかる城北。タイガー左SBがCHにパスを付けようとした、その瞬間・・・

 ん・・・?

( ゚ Д゚)?

 どしゃああーーーっ!

 FWやトップ下にボールが入ったてんならともかく、CHですからね・・・これは相手からしたらタマらんでしょう。自陣の、しかもセンターサークルより前ですよあーた。これじゃビルドアップどころじゃないw

 ピンチの“芽を摘む”どころか、“種から掘り返す”ようなタックルです。まさに鬼気迫るものがあります。

 伝わった、伝わったぞ! ホリケン!! 本当にお帰り!

 注記:もう一度よく映像見直したら、タックル受けてたのは#12で、#10と交代してFWに入った選手でした。同じ時間にCHの#24も#33と交代していたのに加えて、ボールを受けた位置が位置だっただけに勘違いしちゃったテヘペロ。


2015年4月28日(火曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@3度目のC.A.REAL.TOKYO戦

カテゴリー: - yamaneko @ 03時32分15秒

 2試合で16得点と攻撃陣が絶賛炸裂中のSPERIO城北。第3節はホーム赤スポに戻ってC.A.REAL.TOKYO(以下CART)さんとの対戦です。

 城北がこのクラブと対戦するのは3度目になるのですが、過去2回の対戦では1-0、2-0と勝利こそ挙げているものの、相手のペースをなかなか崩せず苦労させられた印象が強いです。特に2010年6月の対戦では、CARTクラブ代表でもある元Jリーガー中西哲生氏がCBでフル参戦。その堅陣をようやくこじ開けることができたのは後半32分、サッカー解説者が南アフリカでワールドカップ真っ最中だっつーのに何やってんだ! と夜空に叫んだのもいい思い出です(笑)

 で、このCARTさんですが、2部に所属している年数は相当なものになりますが、クラブの公式サイトなどもなく非常に情報が少ない。“降格のピンチになると突然元Jが参戦してきて戦闘力が上がる”などとまことしやかに噂されたりもするのですが、現在のメンバーなどの詳しい情報はまるでわかりません。

 しかしその中でも警戒したいのは、昨年の2部1ブロックの得点王に輝いている畑中俊逸選手(10得点)でしょう。この選手は以前は奈良クラブやFC大阪に所属していたことがあるようなので、地域リーグクラスの実力者です。(4/28追記:畑中選手は今年からHBO東京に移籍していました。)

 加えて、かつては湘南ベルマーレに所属していた平野敦士選手が昨年6得点を挙げており、この選手にも大いに注意したいところなのですが、とにかく顔も背番号もわかりません・・・

 あ、そうそう、この人は中西哲生氏の元奥さん、原史奈さんのBLOGにも名前が出ていたりするので、おそらくご本人で間違いないでしょう。ネットでこんなことばかり延々調べていると、なんだか自分がまるでネットストーカーになったような気分がしてきますw

 ともかく、スキルの高い選手が多いですが、過去の対戦から言って決して運動量のあるチームではありません。おそらく守備を固めてカウンターを狙ってくることは確実なので、まずは先制点をしっかり決めて試合を落ち着かせ、得点源である畑中選手に対してはボールの出所をしっかり抑えて前線で孤立させる――という方向でいきたいものです。

* * * *

第49回東京都社会人サッカーリーグ
2部3ブロック 第3節
2015/4/26 19:00 KICK OFF
SPERIO城北 - C.A.REAL.TOKYO
北区赤羽スポーツの森公園競技場

 この試合での城北の先発メンバーは以下の通りとなっています。

この試合では、城北・吉見監督は右SBに田熊、右SHに満城という二人の新加入選手を先発させてきました。右サイド二人がいきなり新顔となったわけですが、この二人は帝京大学の同期生で、二人ともサッカー部で長い時間プレーしてきた間柄。お互いのプレーや呼吸というものは十分に理解できていると思います。あとは周囲とどう連携できるか、というところを観てみたいですね。

 対するCARTは3-5-2。特にCBはセンターが一枚リベロのように後方で余る感じ。城北は両SBがフリーになれますから、サイドでの数的優位を活かして攻めていきたいところですが、相手はサイドはある程度あきらめて3枚のCBを中心にとにかく中を固めてしまおうという心算かもしれません。先ほども書きましたが、ここで詰まってカウンター一発、というシナリオだけは避けなくてはいけません。

試合の展開は、今日はちょっと時間がないのでマッチレポートは省略させていただいて、映像でご確認いただければ幸いです。

SPERIO城北 6 - 0 C.A.REAL.TOKYO

【得点者】
磯部 ‘20
望月 ‘36
長澤 ‘48 ‘56
成岡 ‘63
満城 ‘76

【アシスト】
磯部2 成岡1 渡邉1 田熊1 上田1

* * * *

 終わってみれば6-0と大差のついたゲームとなりましたが、ここまでの2試合が8点とっての勝利だっただけに、これがあんまり「大差」に見えてこなくなるのが東京都リーグ2部のオソロシイところw 開始早々にゴール前正面で相手にフリーでヘディングを許した時はさすがに肝を冷やしましたが、あれがキーパー正面でホント良かった。
 その後は相手にほとんどチャンスらしいチャンスを作らせず、ここまでの2試合よりも得点数こそ少ないですが、内容的には一番いいゲームだったように思います。特に守備の嵌まり方がよかったですね。磯部、長澤のFWは献身的にコースを限定してくれるので後ろのプレスが連動しやすいし、プレスバックしてボールホルダーを挟み込みにいってくれるので、高い位置でのボール奪取も多くなります。
 クサビのボールには上田やモッチーが狙いを定めて厳しく潰しにいくシーンがよく目につきましたし、小林築選手が全体のバランスをよく見て実にいいところにポジションを取ってくれていたので、効率的にセカンドボールを回収することができていました。それを非常によく表していたのはやはり先制点のシーンでしょう。この試合で私のお気に入りのシーンでもあります。

1.前線でロストしたボールを築が的確なセーフティープレーヤーのポジショニングで拾う。


2.寄せてきた相手DFはサイドへのパスを警戒してそちらに向けて勢いがついている。それを見越して中央へカットイン。左足アウトサイドでの持ち出し一発でCHの#21を無効化。


3.前方のスペースに向かって運ぶドリブル。トップ下の#8を食いつかせてから・・・


4.再び左足アウトサイドでフォローに入った成岡にパス。この瞬間、#12のCHだけでなく何と#20のFWまでDFラインに入って7人が横一列になっている。#20は田熊の動きで引っ張られたか? というわけで成岡のチェックにこられる枚数はすでにない。パスを受ける前に悠然と前線の状況を確認する成岡。


5.成岡にボールが渡る瞬間を見計らって城北の二人のFWにスイッチが入る。築はドリブルの際の推進力を殺さずにDFラインのギャップに向かって飛び込んでいく。(さりげなく成岡をフォローできるポジションに入っている満城がいい仕事してる)


6.オラ行ってこい(ドS)


7.ガウガウガウッ! 襲い掛かる城北の猟犬たち。DFはすでに後ろ向きでゴールはむき出し。最終的には磯部が蹴り込んでゴール。

 築はセカンドボールを拾った後にスペースをみつけると、すーっとなめらかに滑るようなドリブルでボールを運んでくれるのですが、この「運ぶ」ドリブルが実に良く効きます。やっぱり相手が寄ってきますから、それだけ相手を崩せます。そして相手をしっかり引き付けてから「ふっ」と離す。離したらドリブルのスピードを殺さずにパスアンドゴーで前線に向かってスプリント! おじさんちょっとシビレました。・・・お願いだから7月でモンテネグロに行くとか言い出さないでくださいね、いや割とマジで。

 あと本日初スタメンの田熊選手もよかったですねー。ヨネはどちらかと言うとインサイドハーフ的に中盤に入ってきてパス交換に参加していくタイプなのですが、田熊選手はいわば“右サイドの原田”ですね。ドリブルでの突破も見せてくれて、スタジアムを大いに湧かせました。そして満城選手も初出場初ゴールのインパクト。二人とも上々のデビュー戦だったと言っていいでしょう。チーム内での競争の活発化はチームの力を伸ばす最高の薬ですから、素晴らしい新戦力の加入はうれしい限りです。

 次の試合は3週間ほど間隔があいてしまいますが、その間には練習試合もすでに予定されているようで、さらに一皮むけた姿が見られることを期待しています!


2015年4月13日(月曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@アウェイだよJGFC戦

カテゴリー: - yamaneko @ 20時17分47秒

 みなさんこんにちは。2週間なんてあっという間ですね。SPERIO城北のリーグ第2戦のマッチリポートをお送りします。開幕戦では相手に先制を許しながらも、最終的には8-1という怒濤のゴールラッシュで見事なスタートダッシュを決めた城北。第2節の対戦相手はJGFCさんです。

■対戦相手が見えない怖さ

 JGFCさんは、昨年まで「上布田蹴球団」として活動していたクラブ。今年から新名称に改名したんだそうです。で、じゃあその「JG」って何なのよ? ってことになるんですが、これがどうも“実践学園”らしんですね。実践学園といえば東京都の高校サッカーではかなりの強豪校です。

 上布田蹴球団の昨年のリーグ戦での成績は2部3ブロックで12位というものであり、成績から順当に考えれば城北の優位はほぼ疑いのないところです。ですが、この改名にともなってどんな組織改編があったのか、メンバーの大きな入れ替えがあったのか、そもそもなんで校舎は中野区、グラウンドは眸にある実践学園と調布の上布田蹴球団が一緒になるの?? そこらあたりの情報がまったくつかめません。もし仮に、実践学園を卒業したての活きの良いメンバーがゴロゴロいるようなチームに生まれ変わっていたりしたら、去年のデータなどまったくあてにならないことになります。こういう相手の正体の掴めなさというのも、また都リーグのオソロシイところではあります。とは言え、心配ばかりしていても仕方がありません。ピッチに送り出された選手たちの力を信じるのみです。

 今節はスタートから4-5-1ではなく、慣れ親しんだ4-4-2フォーメーションを採用です。ツートップは昨シーズン二人で36得点を叩き出した長澤と磯部の最強タッグ。

 中盤の構成は左からシンペー、小林、成岡、岡田。前の試合では素晴らしいパスを何本も供給した小林選手。中盤の底で成岡ど組んだ時にどういう化学反応を見せてくれるのか、大いに楽しみです。

 DFラインはいつもの4人・・・と済ませてしまうのもカワイソウなのでちゃんと紹介しますw 左から原田、望月、上田、米口。そしてGKには前節欠場の中郷社長が復帰です。

 方や実践学園も4-4-2の配置で、多分こんな感じ。

では、試合を見てみましょう。

■MATCH REPORT

第49回東京都社会人サッカーリーグ
2部3ブロック 第2節
2015/4/12 18:10 KICK OFF
SPERIO城北 - JGFC
実践学園総合運動場

 キックオフ直後から積極的なプレスで相手に自由を与えず、ボールを奪うと成岡・小林を軸にしたボールを回しから縦パスやサイドへの展開をはかる城北。すると早くも前半4分、右サイドの米口から中央を経由して左サイドのシンペーまでボールを展開。シンペーがファーに送ったクロスを長澤がGKの至近距離でシュートを放ち、このリフレクトを磯部がきっちり詰めて城北が幸先よく先制点を奪う。続く6分には原田の積極的な仕掛けで左CKを獲得。ショートコーナーでのリスタートを磯部がPA内で受けてDFを振り切ってしてシュート、GKが一旦はセーブするも、このリフレクトを今度は長澤が押し込み追加点。前半16分には小林が中盤左サイドの密集を細かいパス交換で抜け出してループシュートを放つと、これがGKの頭上を抜いてネットを揺らし3点目。試合序盤で圧倒的な優位を作り上げた。

 城北がボールを支配する時間が長く、DFラインを押し上げられないJGFCはボールを奪ってからの素早いカウンターに活路を見いだそうとするが、城北の攻守の切り替えの早さと寄せの鋭さに有効な攻撃を繰り出せない。それでも前半23分、右SBの#2がDFラインの裏に送ったロビングのパスに#16が鋭く反応してGKとの1対1の場面を作り出したものの、ゴールマウスには今季初出場の中郷が立ちはだかる。ファーを狙ったシュートを身を投げ出してブロックすると、こぼれ球のシュートにも反応、さらに3度目のシュートはカバーに入った上田がブロックし、このピンチを切り抜けてみせる。すると前半35分には成岡がPAやや左の位置からFKを直接ネットに突き刺して4-0。GKが一歩も動けない完璧な弾道。城北が大きなリードを保って前半を終了した。

 後半に入っても城北のポゼッション優位は続き、JGFCは全員が自陣に押し込められるような展開が数分の間続いていたのだったが、後半7分、城北の守備に思わぬミスが生まれてしまう。右サイドでできたDFラインのギャップに侵入され、ファーサイドへのクロスを許すとJGFC#11がワントラップから強烈なシュート。しかし中郷がまたしても素晴らしい反応を見せてこの決定的なピンチを脱すると、ここからは長澤の一人舞台。立て続けに4つのゴールを叩き込む快刀乱麻の活躍を見せ、城北が8-0とさらに大きくリードを伸ばす。ロスタイムにはJGFCも意地を見せ、細かいパスワークと#7の切れのあるドリブルで中央を突破し1点を返したところでタイムアップ。城北は2試合続けて8得点という大量得点で勝利することに成功したのだった。

【得点者】
磯部 ‘4
長澤 ‘9 ‘50 ‘52 ‘62 ‘78
小林 ‘16
成岡 ‘35
JGFC#16 ‘80+

【アシスト】
渡邉2 磯部1 成岡1 西松1

■見所満載!

 いやー、楽しい試合でした。何から書こうか迷います。磯部の今季初ゴールに小林の冷静な状況判断と閃きが生んだゴラッソ、PK決めるのと大して変わらないテンションでFKを決めてしまう成岡、途中出場ながらもレベルの高い配球を見せる西松、トップフォームに近づきつつあるのを予感させるホリケン、献身的な上下動をくり返す両サイドバック、そして長澤の大爆発。長澤は2試合で6得点、開幕戦では後半からの出場でしたから、120分で6点取ったことになりますね。でも、長澤は昨シーズンも開幕からの2試合で5点取ってたりするので、アイツならきっと「こんなもん何でもないっすよ。これで普通っす。」と言い放つような気もしますがw

 そして同じく印象的だったのは再三の決定機で素晴らしいセービングを見せた中郷。さすがの安定感です。いや、別に「どっしり」してるとか「ずっしり」してるって意味じゃなくて本当の意味での安定感の話です。今日の城北のプレッシングは実に充実していて、試合のほとんどの時間で相手に主導権を渡すことがありませんでした。そこには後方から絶え間ないコーチングを続けた中郷の功績があったことに疑問の余地はありません。流経大在学中に城北に移籍してきた時って、確か19歳? くらいだったと思うんだけど、少年のようなあどけなさを表情に残していた中郷くんは、本当に「貫禄」のある大人のGKになりました・・・

 それにピッチサイドでの観戦はやはりとても楽しい。最近赤スポでの試合が多かったので、グラウンドレベルで見るのはなかなか久しぶりです。ですがこの景色こそまさに「都リーグ」って感じですね。コーチングの声、選手がピッチを駆け抜ける音、ボールがポストを叩く音。赤スポは客席とピッチが近い素晴らしいスタジアムですが、さすがにここまでは聞こえてこない。そんな中、ハーフタイムの城北ベンチからは吉見監督から選手への厳しい要求が聞こえてきます。とても4点のリードをつけて帰ってきたチームへのハーフタイムコメントとは思えないくらい。そして試合が終わった後、ATでの失点の場面をふりかえってDF陣に問題点を厳しく指摘する中郷の声。――大丈夫だ、このチームはまだまだ強くなれる。そんな思いを強くした試合でした。

■プレスとリスク

 さて最後になりますが、一応戦術のことについても一言。城北のプレスのデキがこの試合では実に良かったのは先に述べた通りですが、その要因として今日採用した4-4-2のフォーメーションがあったように思います。これは去年も書いたように思いますが、ポゼッションの際に、城北は両サイドのSHが中に絞って両SBを高い位置に進出させます。こうすることで中央には2FWと中に絞った2SHがいることになり、ゴール前やバイタル付近での密度を高め、さらにCHも一枚上がってくるので、都合7枚で相手を押し込めていくことになります。ボールをロストしてもこの枚数であっという間に囲い込みボールを奪回できますし、相手を敵陣に押し込んでいるのでセカンドボールの回収も容易。こうすることで試合の主導権を握り続けるわけです。
 そして両SHが中央に絞ることの利点は守備の局面だけでなく、攻撃においても大きいものがあります。相手のCBとSB、そしてCHの作る三角形の真ん中、その浮いたスペースでボールを受け、起点を作ることにつながるからです。このSHの浮くポジショニングに対してSBやCBを釣り出せればDFラインにFWが使えるスペースを作れますし、相手のCHが寄ってくれば、中央が緩んでFWに縦パスを入れるコースができます。どっちもついて来なければシンペーがそのまま前を向いて好き放題すればいいだけです。このスペースを使うことで相手DFを困難な選択に直面させることができるわけです。

 したがって問題は、ボールをロストした時にプレスがかからなかった時のリスク管理です。
 両SBを高い位置に上げる場合、CHが一枚DFラインに落ちて3バックを形成し、その前に1枚アンカーを置いて4枚で守る可変システムがとられることが多いですが、城北はここを2CB+1CHの3枚で守っている場合も多いわけです。2部の下位チームと当たる場合ならこれでもまあ概ね対応できているのが実際ですが、相手に応じて、また時間帯に応じてのリスク管理が必要になるでしょう。かといって、前に枚数があるからプレスの強度も保たれている訳ですから、単純に一枚後ろに下げる、というだけでは強みも失うことになる。したがって強みを活かしつつ弱点を克服するには、全体のコンパクトさを維持してラインを高く保つためにも前からのプレスを継続(――しかしあくまで効果的に。“走り回れ”と言っているわけじゃない)すること、そして予防的カバーリングを各選手が徹底してチーム全体でのプレスの連動性を高めること、それを80分の間続ける持久力とスピード、判断力を持続させること、そして球際の厳しさを求め続けること、ということになるでしょうか。まあこれが理想論なのは重々承知ですが。そしてもう一つ、「最善を尽くしてもやられる時もあるわい」という開き直りでしょうかw まあこれはどっちかというと観てる方の心構えみたいなもんですけど。(「その1失点が命取りになる」とか言ってた前回とずいぶん違うんじゃないかって? そんな昔のことは忘れたなフフフ)

 で、今回の試合では素晴らしいプレスの連動が見られたので、そのシーンちょっとご紹介しますね。

1.シンペーのクロスが流れて相手ボールになる。
2.攻め上がっていたCH西松がファーストディフェンダーとしてボールホルダーに寄せ、方向をサイドに限定させる。
3.右SB上田が(後半の交代でポジションをCBから移動している)素早く寄せて縦を切る。
4.同時に右SH岡田が寄せて中央を切る。これで前方のパスコースは#10へのものだけに限定できた。
5.ここにパスが出てくるが、事前にコースが限定できているので、CBのホリケンが出足よく寄せられた。同時にCH成岡も挟み込みに行っている。
6.最終的には成岡が奪って、西松、長澤とパス2本でゴールまで。

もう1つ。

1.モッチーから上田、上田から村上へとボールを回すが、村上は縦を切られ、中央の倉持を狙ったパスがインターセプトされる。
2.インターセプトした選手はそのままサイドに流れて右サイドで2対3の数的不利な状況を作られ、中央へのパスを許す。
3.サイドの救援にいこうとしていた倉持は急遽ターンして中央のボールホルダーに寄せ直し、ワンサイドカット。
4.西松は背中でJGFC#10へのパスコースを切りつつ危険な中央のスペースをケア。これで前方に出せるコースはセンターサークル付近の#11だけになる。
5.事前にパスコースが限定できているので、モッチーの潰しの寄せが早い。ここでボールを奪い切ることに成功。
6.倉持はそのまままっすぐ走ってモッチーの斜め後のカバーリングポジションに入っている。
7.モッチーは磯部に縦のクサビのパスを入れ、磯部から裏に抜け出す村上にパスが出て決定機。

 あー、いい守備だ。そして素晴らしいショートカウンターだ。動画観て一人でニヤニヤ悦に入るのは撮影者の特権!

 これは4-4-2のゾーンで守る上ではあくまで基本的な動きでしかないかもしれませんが、大事なのは当たり前のことを当たり前にし続けることであって、これをやり続けること以外にないわけで。これを続けつつ、さらに向上させていってもらいたいものです。また二つ目の動画では、中央でパス受けた選手がワントラップ入れてくれたから倉持の寄せが辛うじて間にあったけど、これをワンタッチで捌かれたらどうだったか。たとえば浮き球で西松の頭を越して#10を裏に走らせるようなパス。成岡ならできそうだし、磯部なら成岡がこの位置で受けそうになったら絶対に裏狙ってそうだよね・・・と、いろいろ考えられる場面。もちろん今回の相手はそういうアクションをとってはこなかったし、しっかりした守備ができたけど、さらに上の相手を想定していくことも必要かな、と、思ってしまうのでした。

 とにかく、素晴らしい試合でした! ほんとうにもっとたくさんの人に城北の試合を観てもらいたいです。みなさまどうぞ赤スポへお越し下さいませ<(_ _)>


2015年3月31日(火曜日)

勝手にSPERIOクロニクル 2015シーズン開幕! 対ベイエリアFC戦

カテゴリー: - yamaneko @ 17時00分53秒

 昨年は勝ち点、得失点差で並びながら、総得点の差わずかに1でブロック優勝と昇格を青梅FCにかっさらわれてしまったスペリオ城北――てな感じの“悔しさにじみ出す系”の書き出しも、これで一体何回目になるのでしょうかw 2009年の2部昇格から数えてすでに今年でなんと7シーズン目、臥薪嘗胆の年月が長すぎて、もう舌がバカになりかけたうえに薪の枕でもグーグー寝れちゃいそうになってる自分がコワイのですが、とにもかくにも、今シーズンこそは「優勝」ってやつを体験してみようじゃないですか。見たことのない景色を見に行こうじゃありませんか。今年もこれから数ヶ月、できる限りスペリオ城北の試合のレポートをお届けできればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

■うらやましい!「天然芝」グラウンドを持つ「ベイエリアFC」

 開幕戦の対戦相手は昨シーズン3部2ブロックを制して、2部陥落から1年で戻ってきたベイエリアFC。
 城北とは過去に一度だけ公式戦での対戦がありまして(2012年の2部カップ戦)、その時は3-0で城北が勝利しています。
 クラブの公式サイトはあるのですが、チームのメンバーリストなどの掲載がないので、選手層については詳しいところは分かりません。MIXIにはコミュニティも存在していて、そこには「JFL加入とJクラブと契約できる選手の育成を目指し2001年に東京都社会人リーグに新規加盟」との説明文がありました。占有的に利用可能な天然芝のグラウンド(with LED照明!)を活かして、キッズ、レディースから社会人まで、フルレンジのサッカークラブとして江東区を中心に活動、とのことです。
 ところでこの天然芝のグラウンドって、自治体の施設ではなくこのクラブの所有、なのでしょうか。過去にTOKYO FOOTBALLにて告知されていた選手募集を見ると、「クラブ専用の夜間照明付の天然芝サッカー場ベイエリア・グランドを有しており」とも書いてあって、そうだとするとこれはちょっとスゴイ。ただ写真を見る限りスタンドがないのは少し残念かなー。ですが、こうして各地に街のクラブができて、それぞれの地域に根を下ろしつつサッカー環境が向上していくのは間違いなく素晴らしいことです。東京を“フットボールの都”に成長させていくために、互いに大いに切磋琢磨してゆける相手だと思います。・・・何か今日は妙に四字熟語が多いなw

■城北は4-5-1を選択

 さて、この日の城北のスターティングメンバーは磯部をワントップにした4-5-1。
 中盤の構成はトップ下に成岡、左SHにシンペー、そして右SHには東京カップでもすでに出場経験のある新戦力の岡田、CHは稲畑とこれも新加入の小林築選手のコンビ。
 DFラインは左から原田、望月、上田、米口、GKには山野。4-5-1で試合に入るのはかなり久しぶりですね。新戦力がどこまでフィットしているか、注目したいと思います。

 対するベイエリアは中盤フラットの4-4-2・・・と見受けられました。多分こんな感じ。

  13  8  
10  6  9  4
3  5 11 14
   GK   

 では、試合をふりかえってみましょう。

■MATCH REPORT

第49回東京都社会人サッカーリーグ
2部3ブロック 第1節
2015/3/29 19:00 KICK OFF
SPERIO城北 - ベイエリアFC
北区赤羽スポーツの森公園競技場

 前半6分、PA前やや右の位置からFKをベイエリア#9に決められ、城北としては大いに苦しい立ち上がりとなった。しかしゴール左隅のあのコースにコントロールされたらもう相手を褒めるしかないだろう。
 試合序盤の城北は全体的に固さが目立ち、ボールを落ち着かせられない時間が続いた。ファーストタッチが大きくなって相手に寄せられてしまったり、パスがずれたりでゲームの主導権を握りきれない。そうこうしている前半10分、中盤でのパスミスからボールを失いカウンターを浴びる大ピンチを迎えたが、ここは山野が辛うじシュートをセーブし事なきを得る。ここで失点を重ねていたらゲームはさらに難しくなっていただろう。殊勲の好セーブであった。
 前半の潮目を変えたのは11分、小林が原田に送ったの左サイドへの大きなサイドチェンジパスだろうか。原田のクロスはゴール前のシンペーには合わなかったものの、これで城北はサイドの崩し方を思い出した様子。続く14分には望月が左に流れた磯部にロングフィード、磯部は的確にポストプレーをこなしてオーバーラップした原田に展開、原田は深くサイドをえぐってグラウンダーでマイナスのクロス。中央での岡田のシュートはGKにキャッチされたが、ようやく城北の攻撃がかたちになってきた。
 そして待望の同点ゴールが生まれたのは前半26分、11分のプレーの再現を見るような小林の素晴らしいサイドチェンジパスが原田に通り、原田はそのままPA内まで侵入。相手DFに寄せられながらもボールを保持して中央のスペースにボールを戻すと、そこに飛び込んできたのは成岡。右足アウトサイドでゴール右隅に流し込むビューティフルゴール。
 前半29分にはベイエリア#4にヒヤりとするロングシュートを打たれたが、枠をわずかに外れ、得点1-1で前半を終了。

 後半頭から城北は岡田に代えてベンチに温存していたエース長澤を投入。小林が右SHに回り、成岡がCHへとポジションを落として、慣れ親しんだ4-4-2に配置を変更した。
 後半4分、小林ののシュートのこぼれ球を成岡が押し込むが惜しくもオフサイドの判定。後半8分にも成岡のクロスから稲畑がシュートチャンスを掴むなど、城北に得点の気配が近づいてくる。成岡の効果的な左サイドへの展開からFKのチャンスを掴むと、後半10分、シンペーの蹴ったインスイングでゴールに向かってくるボールを望月が頭でゴール右隅に流し込み、ついに城北が逆転。
 そして後半20分には、右サイドでの競り合いから稲畑、磯部、長澤とシンプルにボールを回して左サイドのシンペーへ。シンペーはスライディングしてくるDFを一人かわす落ち着きを見せて、ニアサイドに強烈なシュートを突き刺した。この3点目で試合の大勢はほぼ決したと言えるだろう。ここからベイエリアの選手たちの運動量は目に見えて落ち始め、長澤(PK)、上田、成岡、原田、そしてシンペーがさらにもう一点を叩き込むゴールラッシュ、後半だけで7得点の猛攻を見せて、8-1で見事に開幕戦を勝利で飾ったのであった。

【2015】SPERIO城北−ベイエリアFC【TSL-1】

SPERIO城北 8 - 1 ベイエリアFC

得点者:
ベイエリアFC #9  ’6
成岡 ’25 ‘75
望月 ’50
渡邉 ’60 ‘80+
長澤 ’64
上田 ’74
原田 ’77

アシスト:
原田1 渡邉1 長澤1 磯部1 上田1

■後半のフォーメーション変更が呼び込んだ勝利

 これまでしばしば開幕戦はなかなかエンジンがかからず、どっちかというと苦手としてきた城北としては、8-1という結果は望外のもの。まずはこの素晴らしい勝利を成し遂げた選手たちには最大限の賛辞を送りたいですね。
 特に、後半長澤が入って4-4-2に移行してからは、長澤がDFラインを引きつけてくれるようになって、DFとMFのラインの間で楔のボールを受けたり、ギャップのスペースやDFライン裏に鋭く入り込むのを持ち味とする磯部の良さがより出せるようになりました。前半のように後方からライン裏にアバウトに入れたボールで走らせたり競らせたりするのでは磯部がちょっと気の毒かも。ツートップが積極的に敵SBの裏のスペースを狙ったり、サイドでの組み立てに参加できるようになって、前半はミドルサード付近で蓋をされることが多かったサイドでの展開もアタッキングサードまで侵入できるようになり、より危険なものになっていました。
 そしてやはり成岡はCHのやや下がり目の位置で悠然とボールを捌きつつ、前線に積極的に顔を出して攻撃に厚みを加えるのが効果的なようです。4-5-1の時の方が、まあ慣れていないせいもあるでしょうが、中盤全体がやや窮屈な(それでいてパスコースはあまりない)感じがしました。当然、これは相手の出足との関係もあるでしょうけど。
 あと特筆したいのは、前半の同点ゴールの際のシンペーのフリーラン。小林からパスが出そうな瞬間に中央にカットインして相手の右SBを引きつれていったので、サイドチェンジに対する右SBの対応を遅らせています。ゴールの影の立役者ですね。

 新戦力についてですが、中盤深い位置からの効果的なサイドチェンジを度々見せた小林選手のプレーは強く印象に残りました。こういうボールを出せる人が入ったのなら、成岡を一列前で使ってみる4-5-1が選択されたのも理解できるような気がします。また後半途中から出場した西松選手は、上田のゴールや成岡の2点目を呼ぶ配球の起点となっており、ゲームを読むセンスを感じさせますね。さらにチームにフィットしていって欲しいところです。今後吉見監督がどういう判断と選択をなされるか、大いに楽しみだと言えるでしょう。

■“二の轍”を踏まないために、敢えて苦言。

 これだけの大勝を見せてくれた試合に文句を付けるのも何なのですが、やはりゆるがせにできない点が一つだけあります。それは前半10分、山野が辛うじて弾いて難を逃れたシュートを打たれた場面です【動画では1分35秒から】。この場面をくり返し見ていて、“何となく既視感があるな”、という気がしました。つらつら思い返してみると、これは昨年の青梅FC戦、岩田選手に決められた形に似ているのです。今回のケースを順を追って見てみましょう。

^霹→岡田へのパス。岡田のリターンが稲畑に合わず、ベイエリア#4がインターセプト。

稲畑がファーストディフェンダーとして#4のチェックに向かうも、相手にターンを許してしまう。

#4が城北のCBとCHの作る四角形の真ん中にポジションを取った#8に楔を入れる。モッチーの潰しはすでに間に合わない。

#8はシンプルに城北の左サイドに展開。ベイエリア右SBの#14が受ける。

ゥ棔璽襪旅塋を見て原田は急遽#14のマークに向かうのだが、それは逆にDFラインのギャップを広げ、自分の裏のスペースを大きくすることになってしまった。#14はワンタッチでそのスペースにボールを出して原田をかわし、#4が抜け出してPA内でパスに追いつく。

#4の角度のややない場所からのシュートは山野が何とかセーブしてくれて事なきを得た。が、この局面では中央で#8が完全にフリーな状態になって待ちかまえており、ここに折り返されても相当に危険だったと思われる。

 青梅戦での失点シーンはこちらです。

【TSL-13】SPERIO城北 - FC青梅(5分15秒から)

 ボールロスト→ファーストディフェンスが効かない→2ラインの間で起点を作られる→SBの裏を突かれてシュートまで、という事態の推移の《基本的な構造》は類似しているように思われます。私が言うのはあくまで映像から述べる結果論に過ぎませんが、どちらのシーンでもDFのためのアクションがすべて後手を踏んでしまっており、要するに短い時間と少ない手数で“かなり決定的に崩されている”のです。

 まずこのシーンでは#4にはボールを奪いにいくよりは、“前を向かせない”ことを重視したアプローチが必要だったかもしれません(まあ、あの稲畑をかわしてターンした相手もなかなかスゴイ訳ですが)。
 そして2ラインの間に浮いたポジションを取った#8には、稲畑のポジションを埋めていた成岡がついていくか、あるいはモッチーが早めに前に出て潰しにいくか、いずれにしても浮かせたままにしてあの位置で起点を作らせるのを避けたいところです。

 また、原田の方は、まだ結構ゴールまでは距離がある位置だったこともあり、#14のマークに向かって後方のギャップを大きくするよりは、速やかに自分の持ち場に戻ってDFラインを作り直すという選択もあり得たと思います。で、DFラインを揃えて裏へ抜けだそうとする#4をケアし、#14に対してはシンペーがダッシュでポジション(左SH)に急ぎ戻って圧力をかける。または原田がSB#14に食いついた以上、裏に抜けようとする#4には成岡がマークしてついていくべきだったかもしれません。

 どうかここでよく思い出して欲しいのです。結局、“あの岩田にやられた1失点”さえなければ、今頃1部で戦っているのはスペリオ城北だったということを。同じ轍を踏むわけにはいかないのです。その1失点が命取り、それが冗談ですまないのが東京都社会人リーグ2部だということは去年戦った選手なら骨身に沁みているはず。最終的な勝利をつかみ取るためには、この守備のディテールにこだわる必要が絶対にあります。もちろん、私の見立てはあくまで素人のものにすぎませんから、的確なものではないかもしれません。この場面を見直して、選手のみなさんが守備についての色々な話し合いをしたり共通認識を作るための材料にしてくれたらいいなと、考えています。

 さあ、長いようで短いシーズンがついに始まりました。今年こそ、最高の秋を迎えましょう。そのための努力を、私たちサポーターも決して惜しまないことを選手のみなさんにお約束します。がんばろう、城北!

 そして追伸・・・

 原田選手、2014年度MIP受賞おめでとう!
  &
 上田選手、移籍後初ゴールおめでとう!
  &
 そしてホリケン、負傷からの復帰、おめでとう!


2014年7月14日(月曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@昭島FCホリデー戦(一週遅れですが)

カテゴリー: - yamaneko @ 19時34分38秒

 世界のフットボールの祭典、ワールドカップは素晴らしい機能美と個人技を融合させたドイツの優勝で幕を下ろし、世界のフットボールは14−15シーズンに向けて小休止を迎えることとなりました。しかしフットボールの「地下水脈」とも言える東京都2部リーグはその流れを止めることなく、いよいよ実力の拮抗したチームがぶつかり合う中盤戦にさしかかり、戦いの熱さはいや増すばかりとなっております。

■チームに求められる「変化」

 城北は前節(6/22)、ラインを高く設定してハイプレスをかけてくるあきる野FCの果敢な守備に大いに苦しめられたものの、相手守備陣のミスを見逃さなかった磯部のゴールと、ここぞの場面で勝負強さを発揮したエース長澤の2得点で3−0とあきる野FCを退け、開幕からの連勝を6に伸ばすことができました。

 しかしこの試合をもって、開幕以来中盤でレギュラーに定着し、攻守にわたって素晴らしい活躍を見せてきた山本弘明選手がモンテネグロリーグへの挑戦のために退団。さらに、あきる野戦では城北のゲームメーカー成岡が相手選手との接触で負傷交代。次節の昭島FCホリデーとの試合に間に合うかどうかは微妙な状況で、中盤中央の要となるプレーヤー二枚を一度に欠くという緊急事態を迎えることとなりました。しかしこんな時こそ問われるのが控え選手も含めたチームの総合力。私たちは選手と監督の準備を信じるのみです。

 今節の対戦相手は先ほども述べたとおり、昭島FCホリデーさん。今年のリーグ戦での成績はここまで5戦して0勝5敗と、まだ勝ち星を挙げられず下位に甘んじていますが、昨年のリーグ戦では1ブロックを6位でフィニッシュしていることを考えれば、十分に中位を争う実力を持ったクラブであるはずですから、決して油断はできません。

 そして注目の城北のスターティングメンバーですが、GKには首の負傷を克服した石山が久しぶりに先発メンバー入り。DFラインは左から原田、望月、上田、米口。中盤同じく左から阿部、稲畑、稲見、渡邉。そして前線は磯部と長澤の4−4−2フォーメーション。開幕以来右サイドハーフでプレーしてきた稲見をセンターに回して組み立ての中心としつつ、センターバックの稲畑を一列挙げることで中盤の守備力を維持する、というのが狙いと言えるでしょう。

 そしてもう一つの注目は公式戦初先発となった阿部遼太郎選手。阿部選手は吉見監督が城北と兼任でコーチを務めておられる上智大学サッカー部に所属しており、言うなれば「吉見チルドレン」。監督がどういうプレーを求めているかの理解度は高いと思われますし、練習試合で現在のメンバーともある程度プレーを重ねていますから、十分フィットできているのではないでしょうか。昭島FCも開始時のフォーメーションは中盤フラットの4−4−2でマッチアップはガチンコです。――では、試合を観て参りましょう。

■Match Report

第48回東京都社会人サッカーリーグ
2部2ブロック 第7節
2014/7/6 19:00 KICK OFF
SPERIO城北 - 昭島FCホリデー
北区赤羽スポーツの森公園競技場
 
 

 
 
 前半2分、上田が前線に入れたロングボールを磯部が競り、こぼれ球を拾った長澤が左サイドに展開すると阿部がファーストタッチを素晴らしい場所において左足を振り抜き、あっという間に城北が先制に成功する。
 早い時間の先制で勢いにのる城北は前線からの激しいプレスで相手に自由なプレーをさせず一方的に押し込んでいくと、このプレスが追加点に結びついていく。前半9分、相手陣内左サイドからのスローインにプレスをかけて出しどころを限定すると、稲見が相手のパスを狙い澄ましてインターセプト、そのままドリブルで持ち込んでミドルシュートを放って豪快にネットに突き刺し追加点。
 さらに磯部が16分、18分、26分と、10分間でハットトリックを決める活躍を見せて5−0と突き放すと、さらに“俺を忘れるな”とばかりに長澤が32分、38分に2得点を決めて、前半だけで7得点と攻撃陣が大暴れ。

 後半に入ると、コーナーキックのこぼれ球を拾った稲見がゴール正面、ペナルティーアーク後方からロングシュートを突き刺し8点目を決める。二桁得点が見えてきた城北だったが、この後押し込みながらも昭島の最終ラインの粘り強い一対一の対応を突破できずゴールを挙げられない時間が続く。しかし67分、稲見のラストパスを受けた磯部が角度の無いことろからシュートをねじ込み9点目、70分には左からのCKに望月がドンピシャのヘッドを突き刺してついに10点目、さらに75分には後半から途中出場した成岡が巧みにゴール前のスペースに侵入し、原田の素晴らしいパスを冷静なトラップから流し込んで11点目、そしてロスタイムの仕上げはやっぱりこの人、長澤。成岡からの楔を受けると磯部とのワンツーで守備陣を切り裂き、右足アウトサイドのシュートでGKを抜いてこの日3点目。合計12−0のスコアで城北が昭島を圧倒し、2部昇格以来初めての開幕7連勝を記録した。

得点者:
阿部(’2)
稲見(’9 ‘43)
磯部(’16 ‘18 ‘26 ‘67)
長澤(’32 ‘38 ‘80)
望月(’70)
成岡(’75)

アシスト:
長澤 阿部2 渡辺 稲見2 原田 磯部

■後半戦に向けて多くの好材料

 私は2006年から城北の試合を見ていますけど、12得点は最高記録です。前半では、9分の稲見、18分の磯部、そして38分の長澤のゴールのように、前線の選手たちの積極的な守備がそのまま高い位置からの攻撃に直結してゴールを量産したのが印象的でした。
 そして後半には、体力的にはかなり厳しいであろう残り10分に立て続けに3得点をもぎ取り、得失点差を稼ぐことができた点は何と言っても素晴らしい頑張りでした。ここは最大限に評価したいところです。吉見監督も残り時間は少ないにもかかわらず、MF村上やFW山本など攻撃的な選手を投入し、“最後まで攻めろ”というメッセージを明確に選手たちに送り続けていました。チーム全体に“徹底的に得点にこだわらなくちゃいけない”という意識が深く浸透しているのがわかる3得点だったと言えるでしょう。
 また、初先発で初ゴール、2アシストと阿部選手が期待に違わぬ活躍を見せてくれたこと、成岡が後半10分から途中出場ながらもプレーすることができ、今後の中盤にも目処が立ったことは大いに明るいニュースとなりました。仕事の関係で稲畑が安定して出場できるかどうかは何とも言えないところもありますが、そこは倉持もいてくれますし、まあ大丈夫でしょう。
 それと阿部選手はプレーを見る限りレフティのようで、左サイドのライン際で左足を使った懐の深いキープや切り返しをせずに左足でクロスを上げられるレフティがいるのはやはり大きいなと、随所で思わされました。久しぶりの先発となったGK石山もこの試合唯一のピンチと言ってよかった場面でノイアーばりの果敢な飛び出しでスペースをカバーするなど、実戦における勘が鈍っていないところを見せてくれたのも大いに嬉しいところです。これから迎える後半戦に向けて、城北の選手層の充実に大きな手応えを感じることのできた試合だったと言えるでしょう。

■さらに勝利を目指すために

 さて、12点とった試合に注文を付けるというのも正直心苦しいものではあります(笑)。しかし!ここは敢えてセルジオ某ばりにツンデレ全開で注文をさせていただきましょう。

 後半3分に稲見のロングが決まってから後半27分までの間、ゴール前まで迫りながらなかなか得点を決めきれない時間が続きました。この時間帯は、攻撃が縦に急ぎすぎて、ボールホルダーを追い越していく動きが減り、エリア内に侵入する人数も少なくなるなど、やや単調になっていたように見えました。その分相手のDFも守りやすくなっていたように思います。ここはもっとねちっこくボールを動かし、オフ・ザ・ボールの動きを繰り返して相手の守備網に穴を開けていきたかったところです。
 とはいえ、75分の成岡のゴールや、80分の長澤のゴールではそれがしっかりできていましたから、後半10分過ぎに中盤のメンバー交代(阿部→成岡 上田→倉持)の後、いろいろと合わせ直しが必要で、そのアジャストが終わったことが最後の5分間の2ゴールにつながったとも言えますね。

 とまあ、一週遅れの試合レポートをお読みくださって誠にありがとうございました。
 しかし書くのが一週間遅れたお陰で、7/13日に行われた青梅FC−あきる野FC戦は両者譲らずスコアレスドローに終わったという思わぬニュースに接することとなりました。あきる野さんのハイプレスにはいかに青梅FCといえども苦労させられるのではないかとは想像していたものの、そうは言っても青梅がしっかり勝ってくるだろう・・・と心の準備をしていただけに、これはやはり大きな驚きでした。試合会場があきる野FCのホーム、あきる野市民運動場という土のグラウンドだったのも、青梅にとっては試合を難しくする一因だったかもしれません。城北も一昨年は同じ会場であきる野FCに苦杯を舐めさせられていますし。
 これで7試合を終わって城北が勝ち点2のリードを得たことになりますが、まあ野球で喩えるなら5回表に1点先制した程度のリードでしょうか。私たちはまだ何も成し遂げていないし、勝ち取ってもいない。追われる立場が逆に守りのメンタルに入ってしまい、追う立場の方が攻めの気持ちでまとまることはよくあることです。昨年も苦労の末にようやく逆転で勝利した東京ガスサッカー部、非常に能力の高いタレントをそろえるアローレはちきたFCなど、終盤戦に向けてこれからまだまだ難しい相手との対戦が続きます。今のリードなどないものと思って、とにかく一つ一つ、昇格に向けて目の前のハードルを越えていくことだけに集中していきましょう。本当の勝負はここから!です!


2014年6月23日(月曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@ありがとうヒロアキ

カテゴリー: - yamaneko @ 23時52分59秒

 今年、スペリオ城北に新たに加入して、ここまでの試合で素晴らしい活躍を見せてくれていたセンターハーフの山本弘明選手。彼がモンテネグロのプロリーグに挑戦するため、6月22日のあきる野FC戦をもってクラブを退団する、というアナウンスがクラブの公式ツイッターアカウントで行われたのは、6月17日のことでありました。

 海外に太いパイプをもち、選手の海外挑戦のステップを提供することをクラブの活動方針の一つに位置づけている2部3ブロックのHBO東京さんならいざしらず、まさか城北から海外に移籍する選手が出ようとは、正直これまで夢にも思っていませんでした。クラブが関東1部くらいまですすめば、J3やJFLにステップアップする選手が出ることもあるだろうか、と考えたことはあったのですが。都リーグ2部からいきなり海外とは。

 ここまで5試合、今シーズンの試合レポートを書いてきましたが、多分その中で山本選手のプレーを褒めなかったことはなかったのではないか。それほど、ヒロアキの活躍は水際だったものでした。

 正確なボールコントロール。あたり負けしない球際の強さ。両サイドへの正確な展開力。ゴール前に攻め上がる際の迫力。

 そして彼のプレーで何より素晴らしかったのは、チーム全体のバランスをとってピンチの芽を摘みとる「危機管理能力」でした。彼の的確な予測とポジショニングとによって、ボールをロストしてピンチになるべき場面がたちまちチャンスに変わる。ここまでの試合で城北が圧倒的なポゼッションで相手を押し込むことができていたのは、彼のこうした貢献があったおかげであり、本当に素晴らしい選手が加入してくれた、よくぞこんな選手が城北のような小さなクラブを選んでくれたものだと、内心感動していたのでした。
 

  
SPERIO城北 #4 山本弘明選手のプレー集

 
 
 
 もちろん、これだけの選手がいなくなるのはただ「残念」というだけでは足りず、それはもうまるで足りず、むしろ「痛恨の極み」「断腸の思い」といういうものです。ですが、人が一生のうちでサッカーを存分にプレーできる時間は決して長いものではありません。その中でプロとして挑戦する機会を持てるというだけでも、本当に素晴らしいことであり、彼が卓越した“何か”を持っていることの証明でもあります。それを思えば、私の感じるこんな寂しさなど一体何だというのでしょうか。

 彼と一緒に勝利を追いかけることができたのは3ヶ月というわずかな時間、たった6試合だけのことではありましたが、それは優勝を目指す今季の私たちにとって、本当に大切な6試合であり、もたらされた勝ち点は貴重な貴重なものでした。そして、彼が関与してくれたことで生まれたゴールの一つ一つが、最終節のギリギリのところで意味を持ってくる、そんな厳しいリーグを私たちは戦っています。彼のお陰でもたらされた勝ち点とゴールに深く、深く、感謝を捧げます。どうか元気で。怪我には十分気をつけて、存分に自らの力を彼の地で示してきてください。それが私たちの夢にも誇りにもなるのですから。

 そして、今いる選手たちは一層の奮起を! 今後、監督が誰をどこで起用してくるのかは私には勿論とても計り知れませんが、これまで控えに回っていた選手たちが、ヒロアキとは違った何かをチームにもたらし、新しい“化学反応”を起こしてくれること、それを通じてシステムをポジティブに再構築してくれることを私は信じて疑いません。城北の選手たちだれもが、それを可能にするポテンシャルを持っているはずです。そしてそうでなければ、今年のリーグは勝てないのです。あと数ヶ月後、ヒロアキにいい報告をするためにも、チーム、クラブ、サポーターがともに、そしてそれぞれ、力を尽くしましょう。

 最後にもう一度、山本弘明選手、本当にありがとう。幸運がいつもあなたとともにあることを祈っています。
 
 
 
【2014TSL-6】SPERIO城北 − あきる野FC戦ダイジェスト映像


2014年6月2日(月曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@リーグ戦は中盤戦へ むさしのFC戦

カテゴリー: - yamaneko @ 20時48分10秒

■近年にない好スタート

 東京都社会人サッカーリーグ2部は、昨年より1ブロック14チーム構成となり、各チームが1シーズンに13試合を行います。城北はここまで4試合を戦ってきましたから、ざっくりと考えると、全日程のおよそ三分の一を消化したことになります。ここからいよいよリーグ戦も「中盤戦」に向かう訳です。
 序盤の4試合に関しては、開幕戦こそ2-1という僅差のスコアとなったものの、その後チームは6-0、7-0、9-0と素晴らしい快勝。これをカーレースに喩えてみれば、スタート直後にホイールスピンでうわずったものの、その後はフルスロットルで第一コーナーに飛び込んだような格好です。しかし重要なのはここから。この第一コーナーを何事もなく駆け抜けられなくては、せっかくのジャンプアップも台無しになってしまいます。レース同様、スタート直後の密集から抜け出し、第一コーナーの飛び込みで発生しがちな多重クラッシュもスルリとかわして、どんどんタイムを伸ばしていけるかどうか――それはこの試合にかかっていると言えるでしょう。

■“古豪”――むさしのFC

 この日の対戦相手である「むさしのFC」さんは、三鷹市・武蔵野市を中心に活動するクラブで、1986年の設立以来おおよそ30年にもなろうかという歴史を誇る都リーグの「古豪」です。1部リーグでの経験も長くあり、まだまだ「若輩」クラブである城北とは歴史、実績ともに比較になりません。
 充実した公式サイトもお持ちで、トップチームのメンバーについての情報を知ることができるのも大変ありがたいですね。その中でも注目すべきは19番のFW、大久保克則選手でしょう。前所属がなんと「鹿島アントラーズユース」となっています。この名前でさらに調べていくと、ナショナルトレセンU-16(西日本)に選抜された実績もあるようです。富士ゼロックスサッカー部に所属の磯部想選手といい、都リーグ2部の底知れなさを改めて認識させられる思いです。
 また、DFにはJFL時代のFC町田ゼルビアに所属していた山祐輔選手も登録されています。「JFL」って・・・いやさすがにそれは反則では、と思わなくもありませんが、現にいるものは仕方ありません。184cmという長身に加えて「雲の上」とも言える上位カテゴリーでのプレー経験は、城北の前線の選手たちにとって文字通りの「壁」となって立ちはだかるかもしれません。この難しい対戦相手をいかに乗り越えていくか、今季の城北の力をはかる重要な試金石となるはずです。

 この日の城北のスターティングメンバーで目を引くのは、左SHの位置で今季初先発となった村上選手。今や2008年に城北が3部リーグで2冠を達成した頃を知る数少ないメンバーの一人となりました。ムラさんの持ち味は何と言ってもここぞという場面での仕掛けのドリブルとシュートへの積極性。久しぶりに掴んだ先発のチャンスですから、どんどん勝負してほしいですね。他は第3戦のC.I.S.C戦以来2戦ぶりに上田が右CBで出場。フォーメーションは熟成の度合いを高めつつある4-4-2です。

 一方のむさしのFCはと言いますと、やはり出てきましたね、19番大久保選手。背番号3の山選手もCBとして出場しており、フォーメーションは城北同様の4-4-2。お互いフォーメーションはがっちり噛み合っています。ここまでの相手と違い、おそらくそんなにプレーの時間やスペースを与えてはくれないでしょうから、プレーの質を維持しつつ、いかにそのスピードを上げられるかが重要になってくるのではないかと思います。 

■Match Report

第48回東京都社会人サッカーリーグ
2部2ブロック 第5節
2014/6/1 19:00 KICK OFF
SPERIO城北−むさしのFC
北区赤羽スポーツの森公園競技場

 両サイドへの配球から攻撃を組み立てる城北に対して、シンプルに長いボールを前線に送るむさしのFCという構図で序盤の攻防は展開された。お互いが高いラインを保ち、ボールホルダーに対しては人数をかけて圧力を掛け合う主導権争いが続く。
 しかし前半14分、むさしのFCのCB#25が肩を負傷し交代を余儀なくされてしまうアクシデントが発生。交代選手が用意する間、数的不利となったむさしのはプレスを弱めざるを得ず、城北のパスまわしに耐える時間が続く。前半20分にようやく#4がCBのポジションに入ることができたが、余裕をもってパスを回せたこの数分間で城北の選手たちから硬さが取れて前線の選手の動き出しも活性化しはじめたようだ。それが結実したのは前半26分、バイタルエリアで磯部がタックルをうけながらもラストパスを供給、これに鋭く反応した長澤のループシュートがGKの頭上を越えてネットを揺らし、城北が先制に成功。続く30分には原田からのクロスをDFラインのギャップで村上が受け、思い切りよく左足を振り抜いて追加点。
 しかし直後の前半32分には、ファウルで与えたFKでDFがボールウオッチャーになったところを押し込まれ、2-1のスコアで前半を折り返した。

 後半に入ると、城北は左SHを村上→渡邉に交代。一方同点を狙うむさしのFCは前線の枚数を増やし、フォーメーションを4-3-3に変更。しかし後半2分、原田がドリブル勝負を仕掛けて得たセットプレーのチャンスに、渡邉がゴール前に入れたボールを稲見が頭で合わせて3点目を奪う。
 これでより攻撃に軸足を置くことになったむさしのだったが、両ウィングの守備参加が少なくなってしまったため、むしろサイドで数的不利や一対一の状況をまねくことが多くなり、かえって主導権を城北に渡すことになってしまった印象がつよい。しかし城北も体を張って踏みとどまるむさしのの最終ラインをなかなか崩すことができず、やや試合が膠着しかけたのだったが、後半23分、城北ゴール前での競り合いからこぼれたボールを原田が拾うと素晴らしいスピードのカウンターが発動する。原田はボールを渡邉に預けると左サイドのオープンスペースを長躯オーバーラップして、クロスをファーサイドの長澤へ。長澤はこれを冷静に折り返し、原田同様に中盤の底からゴール前まで進出してきた成岡が流し込んで決定的な4点目が決まった。
 後半35分にはセンターサークル付近で山本が相手に囲まれてボールを奪われると、DFラインの裏にパスを通されてあわやというシーンを作られたが、むさしの#11のシュートは枠を捉られず、結局そのまま4-1で城北が勝利、開幕以来の5連勝で勝ち点を15に伸ばしたのであった。

得点者:
長澤 ‘26
村上 ‘30
山(むさしのFC)’32
稲見 ‘42
成岡 ‘68

アシスト:
磯部 原田 渡邉 長澤

■自信につながる継続

 とにかくこの大事な試合に勝ててまずはホッとしています。

 これまでの相手とは格段に寄せの圧力が違い、前半はやはりなかなか自由にはやらせてもらえない時間がつづきました。Match Reportでも書きましたが、そんな試合の潮目が変わったのは相手選手の負傷という残念な事故がきっかけではありましたが、数的優位を得て比較的楽にパスをまわすことができた数分間だったでしょう。これで城北は自分たちのやり方を思い出したような印象があります。つまり、ボールを動かしながら守備網にギャップを作り出し、そこに素早く選手が入り込んで決定的な攻撃の起点を作っていく、今季のスタイルです。

 たとえば先制点のシーンですが、【ダイジェスト映像 1:20〜】

1.むさしの左SBの裏を狙って飛び出した稲見を狙ってヨネがスルーパスのチャレンジ。これはカットされるが、成岡が素早く寄せてパスコースを限定することができたために相手のパスをヨネが再びカット。

2.このボールを成岡が拾ってタメを作ると、相手DF陣は大きく城北の右サイドに寄せられて、ゴール前中央のバイタルエリアに大きなスペースができた。成岡は相手に寄せられてボールを奪われるが、セーフティポジションをとっていた山本が再び回収。

3.このタイミングで磯部が大きく開いたバイタルエリアに侵入し、山本からの縦パスを前を向いて受ける。磯部は強烈なタックルを受けながらもSBとCBの隙間を狙って動き出した長澤にラストパスを通し、ループシュートがGKの頭上を越えてゴールゲット。

 ここで相手のバイタルエリアが大きく空いたのは、右サイドでタメを作っている成岡にむさしの左SB#6が食いついたために、CH#24がサイドバックのポジションにカバーに入らざるをえなかったからなんですね。
 で、もうひとりのCH#10もボールサイドに人数かけるために寄ってきていたから、中央のバイタルエリアが大きく空いた訳です。相手の寄せもきつく、成岡もさすがにボールをこぼしたのですが、そこはしっかり山本がバックアップしてくれていて、ボールを失ってピンチになるところが一気にチャンスになりました。前節のJAL FC戦でも同様のことがありましたね。山本選手のポジショニングセンスには最大限の敬意と感謝を払わねばなりません。
 そしてこのバイタルのスペースを見逃さずに侵入し、体を張ってパスを通した磯部もさすがだったし、ゴールハンターらしくしっかりあの位置に入り込んでとにかく足にボールを当てた長澤も見事。

 次に2点目のシーン。【ダイジェスト映像 2:45〜】

1.中郷のゴールキックを左サイドでムラさんが抑え、磯部→原田と繋いで成岡へ。

2.成岡はここでボールをキープして相手DFをさんざん引き付けると山本に落とし、山本は再び左サイド(原田)に展開。これでむさしのの右サイドのDFはボールに向かって寄せようとする。

3.その一方で、逆サイドでは、稲見と長澤のポジショニングに引っ張られて、左サイドのDFは中央に絞りきることができない。これでDFラインの真ん中にぽっかりと大きなギャップができることになった。

4.このギャップにムラさんがフリーで入りこむと原田から精度の高いクロス。ムラさんにはワントラップしてから左足を振り抜く十分な時間とスペースがあった。

 と、こういった感じで、攻撃面ではこれまでのゲームでも追求してきたチームの有機的なつながりというものをしっかり実現し、得点に繋げることができていました。序盤の4試合とは相手の寄せの早さや強度には大きな違いがありましたが、その中でもこれだけの攻撃の形を実現できていたことは、大きな自信につながったと言えるのではないでしょうか。

■さらに強い相手をイメージすること

 守備に関しても、相手のシュートをわずか2本に抑えることができており、十分に試合をコントロールすることができていたと評価するのが妥当なのでしょう。はじめに「要警戒」と述べた大久保選手にもほとんど効果的なボールを出させず、前線で孤立させることに成功しました。
 2部2ブロックのライバルクラブには、青梅FCの岩田“KING of 都リーグ”選手や、かつて横川武蔵野FCでプレーしていたアローレはちきたFCの橋場貴之選手(・・・またJFL経験者か!)など、強力なストライカーを擁するチームがありますが、やはり同様にボールの出所をしっかり抑えて孤立させることが何より重要でしょう。そうした意味でもよい経験を積むことができたと言えそうです。

 ただ、そのたった2本のシュートでしっかり1点決められているのがやはり気がかりです。特にゴール前で相手を二人もフリーにしてしまったセットプレー崩れからの失点シーンは、今後に向けて改善していかなくてはならないでしょう。
 そして後半に打たれたもう1本のシュートの方も、相当きわどい場面を作られました。“あのシュートは・・・岩田なら決めてくる!”という危機感を持ちたいところです。

 と、まあ、何やかやといろいろ書いてきましたが、とにかく危険な「第一コーナー」は無事に抜けることができました。しかしさらにこれから先にはより難度の高いコーナーが手ぐすね引いて待ち受けていますし、ライバルはピッタリとテール・トゥ・ノーズで私たちの背中に張り付いてきています。一瞬も気を緩めることなく、フィニッシュまでまで走りきりたいですね。がんばりましょう。


2014年5月19日(月曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@JAL FC戦

カテゴリー: - yamaneko @ 19時46分15秒

■やっと城北の試合だー!!

 第3節から3週も間が空いてしまい、練習試合も見に行くことができず、すっかり城北欠乏症に陥っている私です。過去の試合映像を見直したりしてなんとか渇望を誤魔化しておりました。はやる心を夕方まで抑えなくてはならない日曜日の昼間の時間は、そわそわしちゃって、もうまともに使い物になりゃしませんw 困ったもんです(^^;

 でもそのくらい、今年の城北のサッカーはおもしろい!

■JAL FC・・・守備力には要警戒か

 この日の対戦相手となったJAL FCについては、公式サイトなども見つからなかったので詳しいことはよくわからないのですが、まあ、常識的に考えてJAL(日本航空)の社員さんのチームなんでしょう(笑)。違うってことはないと思うんですが。
 ともかく、JAL FCが2部に昇格したのは2011年のシーズンからですから、通算4シーズン目の2部リーグということになりますね。昨年のリーグ戦での成績は4勝8敗1分の11位。ただ、優勝したCriacao、2位のエリースFCDXにこそ大量失点で敗れてはいますが、その他の試合はほとんど1〜2失点という内容となっており、大崩れした試合はあまりありません。比較的守備には安定感のあるチームと見ていいのかもしれません。上位の城北との対戦ではやはり守備を固めてくると考えられますので、これをどうやってこじ開けていくか、そこが焦点となってくるでしょう。

 城北は右CBに稲畑が戻ってきた他は先日のC.I.S.C戦と同様のメンバーで、フォーメーションはいつもの4-4-2。センターハーフは左に成岡、右が山本で、左右を入れ替えて野村総研戦の形に戻っています。前節負傷交代して影響が心配された稲見も無事にスターティングメンバー入り。これが現状のベストメンバーと言っていいでしょう。

 一方のJAL FCはワントップにして中盤を厚くした陣形。守備時には11番がアンカーに入る4-1-4-1となり、8番と5番のCHが城北の中盤2枚をマークしているようですが、攻撃時には8番がトップ下まで上がって4-2-3-1となり、フォワードのフォローに入っているようでした。城北は中盤中央での数的不利が予想されることになります。アンカーにしろトップ下にしろ、マークが浮くことになる中盤の1枚をどうやって捕まえるか、そこが城北の守備時の課題と言えそうです。言えそうだった…の、です、が。この続きはまた後ほど試合を考察しつつ述べていくことにしましょう。

■Match Report

第48回東京都社会人サッカーリーグ
2部2ブロック 第4節
2014/5/18 19:00 KICK OFF
SPERIO城北−JAL FC
北区赤羽スポーツの森公園競技場

 前半2分、米口からのフィードを長澤がSB裏のスペースにヘッドで落とすと、稲見が挨拶代わりとばかりに強烈なボレーシュートを放ち、立ち上がりの主導権をつかみ取る。城北はDFラインでゆっくりとボールを回しながら、前線の選手がめまぐるしくポジションを取り直すフリーランを続けることでJALの守備にゆさぶりをかけ、立て続けに好機を作り出していく。
 先制点は前半10分、フィールド中央で成岡と山本が粘り強くボールをキープして右サイドに展開すると、米口は精度の高いアーリークロスを前線に供給。スペースに走り込んだ渡邉が頭で合わせると、山なりのシュートはキーパーの頭上を抜いてゴールゲット。
 前半17分には早くも追加点。右CKのこぼれ球を山本が巧みにキープし、キッカー成岡に戻す。この瞬間、JALのDFのほとんどがボールを見つめてしまっており、やや後方にポジションを取り直した望月が完全にフリーとなっていた。DFの背後をとってゴール前のスペースに走り込む望月に成岡からピンポイントクロスが送られると、望月は余裕をもったジャンプから高い打点でヘッドを振り抜き、豪快な2点目が決まった。その後37分には稲見のミドルシュートがDFに当たってコースが変わり、これにはキーパー反応できず。城北が3点のリードを持って試合を折り返した。

 後半に入っても勢いの止まらない城北の攻めが続き、前半よりもさらにピッチをワイドに使った攻撃が展開されていく。後半開始直後から立て続けにシュートチャンスを作り出すと、後半4分、右CKからこぼれ球を磯部が押し込んで4点目。10分には右サイドの稲見が左サイドへボールを大きく展開、渡邉を経由して間髪入れずにオーバーラップした左SB原田がJA FCL陣内をゴールライン際まで深くえぐるとグラウンダーのクロスを中央へ。ニアで長澤がDFを2枚引き連れて献身的につぶれ役を果たすと、ファーで磯部が確実に流し込み5点目が決まる。
 JAL FCは城北の分厚い攻撃によって自陣に釘付けにされ、ボールを奪っても城北の前線からの連動したプレスの前にアバウトなボールを蹴り出すしかなく、カウンターの起点さえ作ることができない。城北はこのボールを拾っては確実にDFラインからのビルドアップを繰り返し、後半15分には原田が角度の無いところから素晴らしい左足ダイレクトボレーを突き刺して6点目、成岡のスルーパスでラインの裏に抜け出した長澤が決めて7点目、磯部が2試合連続のハットトリックとなる8点目、後半ATには渡邉が体勢を崩しながらも精度の高いクロスをゴール前の長澤に送り、長澤はキックフェイント2連発で相手DFを翻弄してからゴール左隅にシュートを流し込んで大量9得点を奪う快勝。城北はこれで開幕からの連勝を4に伸ばしたのであった。

得点者:
渡邉 ‘10
望月 ‘17
稲見 ‘37
磯部 ‘44 ‘50 ‘77
原田 ‘55
長澤 ‘63 ‘80

アシスト:
米口 成岡2 原田 山本 渡邉

■今年のチームは“何か”が違う

 私はこの試合、優勝を争うライバルである青梅FCとの得失点差のことを考えると、“無失点かつ6点差での勝利”ができれば上々、と考えていました。しかし欲を出して足下を掬われては元も子もありません。だもんで、とにかくどんな形でも勝ち点3を積み上げてくれればもうそれでいい、という気持ちでいたのです。この大量得点はもう望外の喜びという他ありません。まったく素晴らしい試合を見せてくれました。先ほど書いたような「中盤中央での数的不利」などというものは、チーム全体の高い運動量で相手を自陣に押し込めてしまうことによって吹っ飛んでしまいました。

 城北というのは以前から基本的には全員がハードワークするチームで、「とにかく一生懸命走る」というのは城北のチームのスタイルとして継続されています。ただ、そんな中でも以前のチームと今年のチームには大きな違いがあるように感じられます。数年前の城北は、みんな一生懸命走っていたことは確かなのだけれど、それは目の前のボール、目の前のワンプレーに反応するためにすぎなかったように思うのです。つまり自分の目の前にある「状況」に対して必死に“リアクション”していただけで、ゲームをオーガナイズするということはできていなかった。だからエネルギーを使っている割と結果がついてこない。実力的には下位のチームに対して思いもかけず苦戦をしてしまう要因も、そういうところにあったように思うのです。(もちろん、苦手な土のグラウンドでのゲームだったりとか、他にも要因はいろいろあるのですが。)

 ですが今年は、それが何か違います。違うんですよ明らかに。一言でいうと、選手各自の「ポジショニング」がいいんです。攻撃時にはボールホルダーのフォローに入るための数歩のフリーランを周囲の選手が欠かさない。そしてその後方では、誰がセーフティプレーヤーとしてリスクに備えなくてはならないかを忘れない。今季ここまでのところ唯一の失点である開幕戦での失点こそ私はバイタルエリアのカバー役の不在を指摘しましたが、それ以降はこうした問題はほとんど発生していません。攻撃時にいい距離感でポジションを取れているから、仮にボールをロストしても近くの選手が瞬時にファーストディフェンダーとして相手の攻撃を制限することができているし、それに周囲のプレスが連動していける。その間に守備陣形も整う。それによってセカンドボールも拾いやすくなっています。実証例として、今回はJAL FC戦での先制点の場面を見てみましょう。

――――――――――――――――――

1.相手のファウルからフィールド中央、やや左サイドよりからのリスタート。左SB原田が一気に高い位置まで進出しパスコースを作る。

2.成岡→望月→山本のパス交換で相手の守備陣を若干右に動かしたところでボールが成岡に戻る。このタイミングでアンカーの横のスペースを使おうとシンペーがポジションを落とす。この動きにJAL右SBがついて来たので左サイドには割とスペースがあるが、成岡には相手のマーカーが近いし、JAL右SHもバランスをとったポジションを取って警戒しているので成岡はここを使わない。稲畑に戻してやり直し。原田は上がりっぱなしにならずDFラインのスペースを埋めに戻る。

3.相手は稲畑にはプレスにはこないので、稲畑はゆっくりとボールをキープ。ここでシンペーは、JAL右SBが自分についてきたためにできた裏のスペースに向かって反転して走り込む。この動きでDFが後ろに引っ張られたのでJALの中盤が大きく間延びした。このスペースでボールを受けるために長澤が入れ替わるようにポジションを落とし、マーカーを引き剥がす。ここで稲畑ズバッと縦パス。受け手がターンしやすいようしっかりと遠い方の足に付ける。

4.長澤は縦パスをトラップして即座にターン、長澤の開けたスペースに入っていたシンペーにさらに縦パスを出し、自分は裏への抜け出しを狙ってダッシュ。(同時に磯部、稲見も裏に斜めに走り込むのを伺っている。)

5.シンペーはワンタッチで成岡への落としを狙うが、成岡にはマーカーが付いてきてこれは通らない。しかしこぼれたボールは先ほどポジションを戻してDFラインを作っていた原田が拾う。

6.相手もここは「奪いどころ」とみてプレスをかけに来る。これをかわすため原田→稲畑→原田とボールを動かし、原田はフォローに戻った成岡にパスをつけるが、成岡は背中からきついマークを受ける。ここでボールを失ってカウンターを受けても不思議ではなかった。しかし成岡はルーレットをかまして二人のマーカーを振り払ってしまう離れ業。しかも間髪いれずに縦にパスを出す。

7.この縦パスは通らなかったが、こぼれ球はセーフティプレーヤーとして準備していた山本が拾う。山本は右SBの米口に展開。これを見て原田と稲見が一気にPA横のスペースを狙って走り出し、シンペーはJALの右SBとCBの間にできているギャップを見逃さず斜めに走り込む。米口からは素晴らしい精度のアーリークロス。まさにここしかない!という場所でシンペーに通り、ヘッダーのシュートがGKの頭上を抜いてネットを揺らした。

――――――――――――――――――

 いや〜、文章で書くととんでもなく長々しいですね。しかしこのプレー、成岡のリスタートから38秒間の出来事です。

 ところでこの間、城北はずっとボールを保持し得ていたわけではありません。チャレンジの縦パスは「ミス」になっているところもあります。しかし原田や山本が適切なポジションを予測してそこにいたことで、このミスになったボールを回収し、次の攻撃に繋げることができていました。そしてこの状況を作り出したのはシンペーや長澤の労を厭わないポジショニングのための走りであり、スペースを作る、スペースを使うことへの高い意識です。
 フットボールの試合で生じていることは先の読めない「カオス」である、と言われたりもします。その「カオス」の中で少しでも自分たちの力によってコントロールできる状況を作り出すためには、こうした予測に基づいたポジショニングと、自分たち自身で主体的に状況を作り出すためのアクション、つまりランニングが不可欠なのだということなのでしょう。それを欠くならば、私が以前の城北に対して感じていたように、目の前で生じている事態に対応するだけで精一杯になってしまいまうという訳です。そしてもちろん、カオスな状況にわずかながらも秩序を作り出すためには「正確な技術」も必要です。それについては、長澤のトラップと素早いターン、成岡のキープ力、ヨネの正確なクロスなど、この一連のプレーの中には素晴らしいものがあったといえるでしょう。

■真価が問われるのはこれから。チームもサポーターも。

 さて、しかし。ここまでの対戦は昨年のリーグ戦では下位で終わったチームや3部からの昇格チームです。シーズン序盤の立ち上がりとしては文句のない成績を上げることができましたが、今季のチームの真価が問われるのは正にこれからだと言えるでしょう。次節の対戦相手は2012年までは1部リーグに在籍していたむさしのFCさんです。

 しかし、今のプレーを続けていけば、十分な結果が残せると確信しています。ここまでの結果に決して満足することなく、さらなる向上を目指してほしいものです。そして私たちサポーターも選手たちのこの頑張りに応えられるよう、ますます努力して地域への浸透をはかっていくために知恵をしぼらなくては・・・そう感じさせらてしまうくらい、素晴らしい試合でした。一人でも多くの人に今年のチームを観てもらいたい! みんなでがんばりましょう!


2014年4月30日(水曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@「二の轍は踏まず」 対C.I.S.C戦

カテゴリー: - yamaneko @ 18時49分53秒

 開幕戦を2-1、第2戦は6-0と危なげない勝利で開幕ダッシュに成功したSPERIO城北ですが、今節の相手は昨シーズンの対戦で4-3という僅差の試合に持ち込まれ、大いに冷や汗をかかされたC.I.S.Cさんです。

■チームの成熟度はいかに

 C.I.S.Cさんは2013年から名称を「キヤノン(株)サッカー部」から現在の「C.I.S.C」に変更。前身であるキヤノン(株)サッカー部が2部リーグへの昇格を果たしたのは2010年のシーズンですから、今季で5シーズン目ということになります。過去4シーズンでの最高順位は初年度の7位で、決して上位争いに食い込んでくる訳ではないものの、競争の激化する近年の2部リーグに5シーズン留まることは決して容易なことではありません。十分な地力をもったクラブだと思います。昨シーズンの順位は11位、3勝8敗2分というものでした。
 昨年の対戦についてですが、城北が前半早々にアンラッキーな形で失点を喫すると、その後追いついては再び守備の集中を欠いて失点するというパターンを繰り返してしまい、何ともいやな流れで進んだゲームでした。(昨年の試合のダイジェストはこちら http://youtu.be/8zg54u6-FlE)
 しかし後半28分、細かいパスワークで守備陣をこじ開けようやく同点にすると、後半32分に的確なカウンターから成岡が決めた逆転弾で何とか勝ち点3をもぎ取ることに成功。シーズン序盤でコケる城北の悪癖を払拭し、選手たちの勝利への強い執念を感じることのできた大いに印象的な試合とはなったのですが、そもそもこんな薄氷を踏むようなゲーム展開にしてはいけなかったと考るなら、反省点の多い試合であったことも事実です。さて、今年はこの同じ相手にどういうゲームをすることができるのでしょうか。シーズン序盤におけるチームの成熟度を昨年と比較する上で格好の対戦相手を迎えたと言えるでしょう。

 この日の城北のスターティングメンバーは、右CBに上田が入り望月が左へ、そして右CHに成岡、左CHに山本を置いて左右を入れ替えた他は前節と同じで、フォーメーションは中盤をフラットにしたオーソドックスな4-4-2。対するC.I.S.Cも同様の4-4-2でスタートしていますから、3-5-2を相手にした前節とは違って自動的に数的優位ができる場所はありません。いかに相手のマークを外していくか、スペースを作っていくかという点で選手各自の動きの質と連動性が問われるとともに、一対一の勝負でいかに相手を凌駕するかという点にフォーカスが集まるかと思われます。

■Match Report

第48回東京都社会人サッカーリーグ
2部2ブロック 第3節
2014/4/13 18:20 KICK OFF
SPERIO城北−C.I.S.C
埼玉スタジアム第4グラウンド

 試合序盤、城北はDFライン裏を狙ってシンプルにボールを入れることで相手のDFラインを下げさせ、さらに前線からの厳しいチェイシングに連動したプレスでボールを回収、ポゼッション上の優位を形成していく。
 C.I.S.Cはサイドで起点を作って反攻に転じようとするが、左サイドから上げたクロスを望月がカット。これをダイレクトで中盤の成岡に通すと、前掛かりになっていたC.I.S.Cの中盤は一気に置き去りにされてしまう。成岡は素早くターンしてDFライン裏にスルーパスを通すと、磯部と長澤が旋風のように敵陣に襲いかかり、最後は長澤からのラストパスを受けた磯部が悠々とボールを流し込んで城北が17分に先制に成功。
 その後長澤のPKを失敗などもあったが、26分には左CKから望月が頭で押し込み追加点、さらに38分にはゴール前で米口との縦のワンツーから磯部がDFの裏をとって豪快にサイドネットに突き刺して3点のリードを作る。
 ところが前半も終了間際の39分、相手のハンドをアピールしてできた一瞬の隙に逆サイドへの大きな展開を許すと、自陣左サイドで起点を作られて決定的なスルーパスを出されてしまう。GK中郷の飛び出しも及ばず、C.I.S.C77番が放ったシュートがゴールラインを超えるかと思われたその刹那、諦めずボールを追った上田が執念のクリア! どうにか無失点のままで試合を折り返した。

 後半、まだまだ試合を諦めないC.I.S.Cの選手たちもタイトなマークで何とか城北の攻撃をしのぎ、前線に人数をかけて点を取りに来るのだが、それを逆手にとるようにまたしても成岡を起点としたカウンターが発動する。GK中郷からの素早いフィードをフィールド中央で受けた成岡は左サイドを駆け上がるシンペーにシンプルに展開すると、シンペーはドリブルでボールを運びつつ中の状況を確認してアーリークロスを上げる。一旦DFに当たってやや勢いが落ちたボールはかえってファーポストに走り込む磯部の前に絶妙に落ちることとなり、磯部が冷静に流し込んでハットトリックを達成した。
 その後も負傷の稲見と交代した岩井のクロスをシンペーが決めて5点目、そして最後はいよいよ長澤が本領を発揮してさらに2点を叩き込み、7-0という大差をつけて城北が開幕三連勝を飾ったのであった。

得点者:
磯部(’17 ‘38 ‘60)
望月(’26)
渡邊(’67)
長澤(’73 ‘80+)

アシスト:
長澤 渡邉2 米口 岩井 磯部

■違いを作り出す男

 今回の記事の最初に挙げたこの試合のテーマ、「チームの成熟度」を計る、ということについては、この結果からも完全に昨年を上回ることができている、と言うことができるでしょう。昨年の轍を踏むことなく、攻守にわたって集中力の高いプレーを存分に見せてくれました。そして今日の試合では、やはり成岡の決定的な仕事を褒めないわけにはいきません。今回は4点目の起点となったプレーを振り返って観たいと思います。その部分の前後がわかりやすくなるように、映像をつけておきます。

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1.成岡は相手のミドルシュートを中郷が十分にキャッチできると判断した時、一度首を振って左サイド奥にスペースがあることをまず確認している。

2.中郷がボールを受けると自分がフリーであることをアピール。それに気づいた中郷も素早くフィード。そして成岡がフリーのアピールをしているのを見てシンペーも予備動作を開始。

3.C.I.S.Cの右SB25番が成岡がフリーでボールを受けるのに気づいてチェックに来るが、これで左サイドはさらにがら空きの状態に。成岡は足裏を使って絶妙のトラップを決めつつ、もう一度首を振ってスペースを確認し、マークが付く前にパスを出す。シンペーが一気にスピードを上げる。

4.パスに追いついたシンペーはドリブルで縦にボールを運ぶ。本来このスペースをカバーすべき右SBが成岡に食いついたのでシンペーはフリー、余裕を持って中の状況を確認すると中央に走り込む長澤をおとりにしつつファーの磯部を狙うクロス。

5.本当はFWにとってかなりシビアなタイミングで合わせなくてはならないクロスだったはずだが、途中でDFに当たったことでスピードが落ち、むしろピッタリのボールとなった。これを磯部が落ち着いて流し込んでゴールゲット。

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 この場面で私が何より感心したのは、相手の攻撃が不発に終わるとわかった瞬間、次の攻撃の展開イメージを作っていた成岡の「戦術眼」です。私は実際のプレー経験がありませんからよくわからないのですが、サッカーやっている人ならこの位のことは当然なの? どうなの?
 私はとにかく「どうして背後にあるスペースにこんなに瞬時の判断でパスを出せるんだろう?」と不思議に思って成岡の首を振る動きを確かめてみたのですが、そしたら中郷がシュートをキャッチするかしないかのウチに、すでに一度首を振って後ろ見てるんですよね。つまりすでに確信をもってあのスペースにパスを出していた訳です。これを見てもう「うわすげぇな!」と。

 そしてこういう決定的な仕事をするだけでなく、ゴール前まで進出してはフィニッシュに絡み、中盤の底に降りてボールを捌き、サイドに流れて起点を作りと、ほとんどフリーマンのようにピッチ全体を駆け回ってボールの近くに顔を出す成岡の働きが城北のポゼッションを支えており、今日の勝利を引き寄せた大きな要因となっていました。その分もう一人のCHである山本が広い範囲をカバーしなくてはなりませんでしたが、山本は「あ、ここを抜かれると危ないな」というところに常にいてくれて、しかもファウルを犯さずボールを奪い取っていくという素晴らしいプレーを見せていました。山本くん、城北に来てくれてホントありがとう!

 シンペー、稲見の両SHはウィングというよりは中央付近でプレーすることによってCHやFWと適度な距離感を作って連携を生み出していました。それによって同時にサイドバックの上がりを引き出して攻撃に「幅」と「深さ」を作り出し、かつゴール前での「圧力」の強さも実現することができていました。両サイドバックの攻撃参加は、前線からの積極的な守備とともに今季の城北の戦術的生命線であり、FW、SH、CH、SBの緊密な連携から作るサイド攻撃にはさらに磨きをかけていってほしいところです。シンペーは1G2Aと盤石の安定感。ただ傷んで交代した稲見の状態がちょっと心配です。

 そして移籍後初ゴールにしてハットトリックを達成した磯部。ゴール前であれだけ質の高い動きを繰り返していれば得点するのは時間の問題だろうとは思ってはいましたが、決まる時はホント、本田△が仰るように「ドバドバ」と出るものですw 特に3点目のポストを受けてからDFの裏をとる動きなんかは本当に素晴らしい。そしてPKを外しはしたものの終盤に2得点を叩き込んだ長澤のプレーからは、「ノーゴールなんかで終われるか!」いうストライカーの気迫がビンビンと伝わってきました。2点目のゴールを決めた後、やや猫背にして伏し目がちにノシノシと歩いてくるその姿には背中から「闘気」が立ち上っているような“凄み”さえあります。

■ピッチに立つ選手だけでなく

 そしてもう一つどうしても伝えたいこと。

 6点目を決めた後のことですが、ベンチから「昨年のこともあるから、もっと取りに行こう!」という声が飛んでました。これを聞いた時、ベンチの選手たちも一緒にゲームに入って、戦う気持ちを持ってくれていることがわかって、本当にうれしかった。新しいメンバーも入り、チーム内での競争も激化しています。この試合では交代枠も1つしか使われず、試合に出たいという思いはベンチ入りしている選手みんなが持っているに違いない。それでも決して腐らずに、こうして声を出して一緒に戦ってくれている。ピッチ上の選手が作り出す一体感だけでなく、こうしたベンチを含めたチームの一体感をこれからも大切にしてほしい。今日初先発だった上田が見せてくれたあの執念のクリアも、「試合で使われれば絶対にやってやる」という強い気持ちを持って準備していたからこそできたプレーでしょう。そして昇格を実現する上での得失点差というものの持つ重みを痛いほどわかっているからこそ、あそこで諦めないプレーができた。みんながこういう気持ちで準備をしてくれるなら、今年の城北は強い、と自信を持って言える。次の試合は5/18としばらく先になりますが、さらにチームの状態を挙げて臨んでほしいと願っています。


2014年4月16日(水曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@野村総合研究所サッカー部戦

カテゴリー: - yamaneko @ 02時04分18秒

■2年ぶりの対戦

 前節、後半からは暴風雨と言っても過言ではない悪コンディションの試合を2−1でしっかりと勝ちきり、今期のリーグ戦初戦を白星で飾ったスペリオ城北。今節は野村総合研究所サッカー部との対戦です。「野村総研」は言わずと知れた国内屈指の経済系シンクタンク。この知能派集団は一体いかなるフットボールを展開するのでしょうか?
 以前、2012年のリーグ戦で城北はこのチームと対戦した経験があるのですが、その試合では、今は東京蹴球団でプレーしているMF宮原らのゴールなどで2-0の勝利を飾っています。野村総研サッカー部の昨年のリーグ戦での成績は2部1ブロックの11位。辛くも2部残留を果たしたというものですから、優勝&昇格を目指す城北としては確実に勝っていかなくてはならない相手です。しかしこういう企業チームは毎年どんな新入社員が入ってくるのやらわかったものではありませんからねぇ。期待の大型新人の加入で大きく実力が変わっている可能性もありますし、やはり油断はできません。いずれにせよ、ここ数年の2部リーグの激戦ぶりを考えればどんな相手にも星を落とせないのは同じなんですが。

 ところで、グーグルで「野村総研」と入力しただけで「野村総研 激務」という連想検索ワードが出てきます(笑)。どうか日本経済を支えるためのその貴重な疲れをしっかり抱えたままゲームに臨んでほしいものです!

■Match Report

第48回東京都社会人サッカーリーグ
2部2ブロック 第2節
2014/4/13 19:00 KICK OFF
SPERIO城北−野村総合研究所サッカー部
北区赤羽の森公園競技場

 試合開始直後から城北の二人のFWが激しくフォアプレスをかけてボールを追い回すと、長澤のチェックでDFがコントロールをミス。このボールを磯部がかっさらってファーストシュート。サイドバックも高い位置をとって相手を押し込んでいくと、ボールをロストしても周囲の選手たちが次々と襲いかかるようなハイプレスでたちまち回収し、中盤の底に位置した成岡を中心に縦横自在のパス回しから城北が幾多のチャンスを築いていく。
 そして前半13分、ゴール前で相手守備陣を大きく左右に揺さぶる素晴らしい崩しから最後はシンペーが頭で押し込み城北が先制に成功。19分には再びシンペーがゴール前の密集地帯で巧みにシュートコースを作り出し、ゴール右隅に鋭い弾道のシュートを蹴り込み2点目。そして32分にはシンペーの出した縦パス一本で長澤が裏に抜け出し、角度のないところながら冷静に流し込んで3点目。前半で試合の大勢を決定づけた。

 前半は比較的前目からプレスを行ってきていた野村総研だったが、後半に入ると守備のスタートラインを下げて後方にリトリート。ハーフライン付近で城北のCHにボールが入ってもFWがプレスをかけにこなくなった。後方のスペースを消して城北の攻撃を守備網にひっかけさせてからカウンターを狙うプランに変更したのだと思われる。
 するとプレスに来ない相手の様子を見て「こないんならこっちからいくよ」とばかりに、望月が最終ラインから右サイド奥のスペースに走り込む米口めがけて狙い澄ましたロングフィードを供給し、これをきっかけに得たCKのチャンスでは成岡のプレースキックが一閃。シンペーがゴール正面でどんぴしゃのヘッダーをたたき込んで4-0、これでハットトリック達成である。相手のゲームプランの変わり端に選手たちが柔軟に対応し、それを無効化することに成功したといえるだろう。城北はその後もあくまで攻めの姿勢を貫いて、長澤が豪快なダイビングヘッドを含む2得点をさらにたたき出して二人目のハットトリック達成、6−0と快勝して連勝を2に伸ばした。一試合で二人のハットトリックは長く城北の試合を見続けている私にも記憶がない快挙。

得点者:
渡邉(’13 ‘19 ‘42)
長澤(’32 ‘49 ‘79)

アシスト:
渡邉2 成岡2 稲見

■サイドを攻略せよ!

 前節は中盤の底にアンカーを配した4-1-3-2のフォーメーションを採用した城北でしたが、この試合では成岡のポジションを一列下げてCHを2枚にした4-4-2を採用。一方野村総研は3バックの3-5-2を採用しているように見えました。
 このマッチアップを見る限り、サイドでの数的優位を活かせるかどうかが城北の試合展開の鍵になりそうだったのですが、選手たちは実に見事にそのタスクを完遂してくれました。たとえば城北の先制点のシーンですが、左SHのシンペーと左SBの原田、そして左CHの成岡が左サイドで効果的に連携を作り出し、チャンスを演出してくれています。ちょっと細かく分析してみましょう。

――――――――――――――――――

1.右サイドでのスローインから望月→稲畑と最終ラインでパスを回し、稲畑はピッチ中央の成岡にボールを預ける。

2.成岡にボールが入るのを見て左サイドバックの原田がオーバーラップを開始。これで野村総研のSH(むしろWBか?)7番は原田をマークせざるを得なくなり、本来のマッチアップの相手である左SHのシンペーを見ることができない。

3.成岡にボールが入ったため野村総研のCH18番がチェックのために前進してくる。原田の上がるスペースを作るためにやや内側にポジションを取っていたシンペーはこれで完全にフリー。成岡はCHを食いつかせてからシンペーにパス。シンペーは余裕を持ってターンし、ドリブルで縦にボールを運ぶ。

4.野村総研18番がプレスバックしてシンペーの中央へのコースを切ってきたので、シンペーは左前方の原田にパスを叩く。このとき18番によるチェックが消えた成岡は完全にフリー。原田はワンタッチで成岡に落とす。この一連のパス回しで相手の守備は完全に左サイドに寄せられている。

5.城北の新10番にとってこれは十分すぎる時間とスペースだと言えよう。成岡はインフロントキックで右サイドにできた広大なスペースに目の覚めるようなサイドチェンジパスを供給すると、米口が後方から猛然と駆け上がってくる。

6.実は右サイドにこれだけ大きなスペースができているのにはもう一つ理由があった。原田から成岡にボールが戻った時、FW磯部がポジションを落としてボールを受けに降りてきたが、これによって敵のCBを1枚引き付けることができ、さらにこれで生じたDFラインのギャップをめがけて右SHの稲見が斜めにスプリントを敢行していたのである。この動きを見た野村総研の左SH21番は稲見のマークのためにくっついて行き、右サイドはがら空きになった。

7.さらに得点につながった重要な判断は、米口にボールが通ることが確実になったのを見計らって右CHの4山本もゴール前に敢然と攻め上がったことである。これが実に効いた。この動きによって、米口のクロスがカットされたこぼれ球をゴール前でキープすることに成功し、2次攻撃が可能となった。山本は相手DFに囲まれながらもしっかりと縦パスを9長澤に通す。これも実に見事な仕事。

8.縦パスを受けた長澤はきっちりポスト役をこなして左サイドにボールを展開。ここに中央から成岡が流れてくるが、成岡はこのパスを受けるまでの間にシンペーがファーサイドでフリーになっているのを確実に視認しており、狙い澄ましたクロスを(しかも逆足のダイレクトで!)供給する。 あとは、“どフリー”のシンペーが丁寧に決めるだけであった。

――――――――――――――――――

 一方のサイドで数的優位を作るだけでなく、逆サイドへの大きな展開まで含めたサイドのスペースの攻略はまさにお見事。しかも皆さん、お気づきになられましたでしょうか? 右サイドのスローインから、シンペーのゴールに至るまでの一連のプレーには、GKを除く城北の全てのフィールドプレーヤーが関与していたのですよ! いや、もしかしたら後方からのコーチングという形で、きっとGKの中郷も参加していたことでしょう。ボールタッチのない選手も、スペースを作ったり相手のマークを引き付けたりといったタスクをしっかりとこなしてくれたからこそ、このゴールが産まれたのです。録画で何度も見直して、見直すたびにそれぞれの選手の動きがつながり合っていることに気がついて、心底ワクワクさせられました。開幕2試合目でこれほどの連携を見せることができるとは・・・!

■吉見監督の深謀

 そして、試合での点の取り方から今日のフォーメーションの意味を考え直していくと、この大勝を引き寄せたベースにはやはり吉見監督の選手の配置の絶妙さ(S級ライセンス保持者に対して私がこんなこと言うのもまったく面はゆいですが・・・)があります。この試合では成岡を左CHに配置していますが、これによって成岡は左サイドに流れた時に中央への広い視野を持つことができます。先制点の呼び水となったサイドチェンジパスはその典型ですね。そして右のサイドハーフにはDFライン裏への鋭い飛び出しを持ち味とする稲見がいて、成岡からのスルーパス1発でで相手守備陣を崩すこともできます。この試合では実現しませんでしたが、成岡からのそういう狙いのトライは実際何回か見られました。
 そして左サイドハーフには同じく右利きのシンペーが配置されていて、内側にカットインしてのシュートが大きな武器になります。今日の2点目がその最たる例でしょう。それにシンペーは仮に中を切られても縦に突破して左足で正確なクロスをゴール前に供給できますしね。それが6点目のアシストとなったクロスのシーンです。実際シンペーの左足クロスは年々成長してきていて、去年あたりからは見事な精度を見せはじめています。TOKYO FOOTBALL の記事でも「完璧なクロス」と評されたものがあったほどです。想像するに、社会人の選手というのは、やはり学校出てすぐが能力のピークで、あとは仕事との両立の中で少しずつ技術も体力も下がっていく・・・というのが避けられないことなのではないかと思うのですが、シンペーは逆に間違いなくフットボーラーとして成長してきている。そこが本当にすごい。

■勝利のための新しいピース

 それと二試合続けてスタメンとなっている二人の新戦力、CHの山本とFWの磯部ですが、両名とも実に素晴らしい。というか2試合プレーを見させてもらって、「すごい新戦力が加入したな」というのが本音です。
 まず山本ですが、開幕戦がアンカーの位置での先発だったことから守備のタスクを本領とする選手なのだろうと捉えていたのですが、いやいやどうして、縦横のパスの出し入れがなかなかすごい。山本選手がこれだけの展開力を持っているとすると、仮に対戦相手が成岡に厳しいマークをつけてきても、もう一つパスの供給源を確保できることになります。これは大きい。先制点のシーンでも重要な役割を果たした攻撃参加への判断力、適確なボディシェイプによる玉際の強さなど、金のわらじを履いてでも探しにいきたいオールラウンドなCHじゃないですか。この加入は心強い限りです。
 そしてFWの磯部ですが、まず何と言っても足下の技術が高い。その柔らかいボールタッチを活かしてよく楔のボールを納めてくれるだけでなく、その後の展開の判断も効果的。また、サイドに流れてSHが中にカットインするスペースを作ったり(シンペーの2点目の時など)、ポジションを落としてCBをつり出したりといった地味ながらチームの攻撃を活性化さえるためのアクションを献身的に行ってくれていて、前線で攻撃の組み立ても行えるクレバーなセカンドトップ、といった印象ですね。長澤とはFWとしてのタイプもやや異なっていて、その分相性もいいのではないでしょうか。

■「原点」の発見

 先ほども述べたように、ピッチ上にいる全ての選手の動きが有機的につながり合っていたのは攻撃だけではありませんでした。長澤、磯部両名の献身的な前線からの守備、それに続くチーム全体のプレスの連動という点でも、この試合にはすばらしいものがありました。

 全員で攻撃し、全員で守る、このソリッドな一体感。

 最後まで走り続け、運動量を落とさないプレーにおけるインテンシティ(強度)。

 そしてチャレンジする勇気とリスクに備える洞察力。

 ――もちろん、相手の力量によって、それが十全に発揮できないゲームもあるかもしれない。けれどそれでも、今日見せたゲームの内容を、今シーズン、そして将来にわたって長く城北が目指すべきゲームのフィロソフィとして確立することができるなら、これからも多くの人が城北の実現するフットボールに、カテゴリーを超えた魅力を感じてくれるのではないでしょうか。それこそまさに、吉見監督が常々おっしゃっている「日曜日にスペリオを観て、月曜日は元気に仕事にいける」ような、人々を勇気づけ、元気づけるサッカーに他なりません。

 このゲームで見せてくれた城北の今年のチームの可能性に心が躍るばかりです。しかしシーズンは始まったばかり。東京都2部リーグはリーグ戦とはいいながらトーナメント戦みたいなものです。洗面器に顔を付けていつまで我慢していられるかを競っているようなタフな勝負が続きますが、今日のような試合をこれからも見せ続けてほしいと、切に願っています。


2014年4月1日(火曜日)

勝手にSPERIOクロニクル@2014年の開幕は雷鳴とともに

カテゴリー: - yamaneko @ 19時50分11秒

 みなさんどうもお久しぶりです。

 かなり長いことこ更新もせずに放置してしまっていた本ブログですが、城北の試合レポを気持ちも新たに書いていきたいなぁ、と思っております。

 さて、今年もいよいよ東京都リーグが開幕です。昨季は首位の東京蹴球団と勝ち点では並びながら、またしても得失点差のビハインドを覆すことができず昇格を逃してしまった我らが城北。根立や小島、沢田といった長年にわたって城北を支えてきてくれた選手を含む6名が退団した一方で、新たに6人の選手を迎えて、2014年シーズンを迎えることとなりました。3/30に富士ゼロックスFCをホーム赤スポに迎えて行われた開幕戦では、立正大から加入の山本弘明選手、流通経済大に在籍しつつ城北でプレーする磯部孝道選手の両名がさっそくスターティングメンバーに名を連ね、2014年のSPERIO城北の戦いがその幕を切って落したのでした。

■難敵・富士ゼロックスFC

 開幕戦の対戦相手となった富士ゼロックスFCは、昨季の3部2ブロックを11勝1分0敗という成績で制しての2部昇格。12試合で53得点3失点というのは攻防ともに素晴らしいの一語に尽きます。クラブのサイトも作られていて、そこに掲示されているメンバー表を見てみますとさすが一流企業、筑波大をはじめとした国公立大、また中央大や明治大といった有名私立大など、大学サッカー強豪校の出身者が多くを占めているのがわかります。3部でのこの成績も納得です。 
 さらに情報を探していくと、背番号11の磯部想選手は強豪・武南高校出身で、大学時代にはデンソーチャレンジカップ関東選抜にも選出された経歴があることがわかりました。高校時代のプレーぶりを「武南のファンタジスタ」と評するサイトが見つかったりと、なかなかワクワクさせてくれます(震え声)

 それにしてもあきる野FCの伊東拓弥といい、こういう選手がしれっとプレーしてる東京都リーグ、本当に恐ろしいところです・・・

■困難なコンディションを克服しての勝利

第48回東京都社会人サッカーリーグ
2部2ブロック 第1節
2014/3/30 19:00 KICK OFF
SPERIO城北−富士ゼロックスFC
北区赤羽の森公園競技場

 試合の方はダイジェスト映像を作成してありますので、どうぞそちらをご覧ください。

得点者:長澤2(’17 ‘28)
アシスト:原田 米口

 後半は雨は降るは風は吹くは、おまけに雷は鳴るはで、もう大変なコンディションだったのですが、集中力を切らさずリードを守り切ることができました。相手GKの好守もあって後半に追加点を奪うことができなかったのは残念でしたが、選手たちは全体的にいい距離感を持って素早くボールを動かし、良質なチャンスを作ることができていたと言えるでしょう。そうした意味では得点という形にはならなかったとしても攻撃に停滞感はなく、これからのさらなる連携の熟成に大きな期待を抱かせます。
 新加入の二人の選手については、19磯部選手は前線で縦のボールをよく納めて攻撃の起点を作ってくれ、先制点の場面ではニアでDFを引き付け効果的なつぶれ役を果たすなど貢献も大きかった。4山本選手は中盤の底からの適確な配球だけでなく、積極的な攻め上がりで攻撃の厚みを作り出すなど、両名とも新加入・初出場とは思えない存在感を発揮してくれたと言えるでしょう。

 そしてこの試合ではなんと言っても2ゴールを挙げた9長澤。今年から背番号も9に改まった長澤ですが、まさに9番、ストライカーに求められる仕事を見事に果たしてくれました。左サイドで7シンペーと17原田が作り出すコンビネーションも相手に大きな脅威を与えていて、事実2点とも原田の積極的な仕掛けから生まれたもの。2点目のアシストは右SBの米口で、このことからも効果的なサイドからの攻撃が実現できていたのがわかります。そして試合終了間際に相手GKを退場に追い込んだ10成岡と13稲見のホットラインにはこの二人の“らしさ”がギュッと凝縮されてましたね。常にゴールに向かう最短の「解」を狙い続ける成岡、そして相手の虚を突く鋭い飛び出しを得意とする稲見。この二人が中盤で作り出す創造性は今年もおおいにに楽しみです。もちろん今年からキャプテンマークを巻く6望月、そしていよいよ「1番」を背負うことになったGK中郷、“残留してくれて本当にありがとう”5稲畑ら、DF陣も悪コンディションのなか最後まで良くリードを守り切ってくれました。

■4-1-3-2での守備面の課題

 ただ、試合の中に課題がなかったわけではありません。ここで失点シーンの検証をしてみたいと思います。

 この日の城北のフォーメーションはアンカーを1枚にした4-1-3-2。この形で気をつけなくてはならないのは、アンカーの両側に広がる大きなスペースを使われないことです。この部分をどうやってケアしていくのか。

 前半23分の(ダイジェストでは1分40秒から)城北の失点シーンですが、左サイドからのクロスが合わず、富士ゼロGKがキャッチ。GKは素早く左(城北にとっては右)サイドバックに配球して、ここから一気に城北のDFラインの裏にスルーパスを通されてしまいました。鋭いプルアウェイから5稲畑をスピードで振り切った富士ゼロ11番・磯部選手のプレーはさすがに質の高いものだったとは言え、問題はサイドから供給されたこのパスが中央でまったくフィルターを受けずにここに通ってしまったことです。この時は、攻撃参加していた4山本の帰陣が間に合っておらず、というか富士ゼロのサイドバックのチェックでサイドに引っ張り出されてしまっており、中央のカバーがいません。城北DFラインの前には広大なスペースが生まれてしまっています(1分55秒あたり)。そのためスルーパスは何の障害もなくDFラインの裏まで楽々と通ってしまう形となりました。アンカーの攻撃参加は攻撃に厚みを加えるために大いに有効だし、むしろ必要なものでさえありますが、その場合のリスクマネジメントをどうするのか、またアンカーが一方のサイドにつり出された時にどうするのか、今後この中盤の形を続けていくなら共通の了解を作っていく必要があるでしょう。

 次に前半38分(ダイジェストだと4分40秒あたりから)のシーン。
 稲畑が前線に送ったロングフィードが跳ね返され、セカンドボールを富士ゼロのセンターハーフがフィールド中央付近で拾います。この時アンカーの4山本は低く降りてきていた11番をマークしています。こいつはフリーにできないのでこれは「必然」の選択。ただ、そのためにこのセンターハーフにはマークが付いていない状態。そこで恐らくとっさに危険を感じたのであろう稲畑が急遽スプリントしてチェックにいきます。これもまた「必然」のプレー。しかしそれによって背後のDFラインには大きなギャップが生じてしまいました。
 ここで富士ゼロのセンターハーフはワンタッチでこのギャップを狙ってパスを叩く素晴らしいセンスを見せ、さらに危険な11番がこのギャップめがけて飛び込んできます。シュートは幸いにもポストを叩いて事なきを得たものの、1点もののプレーだったことは間違いないところです。富士ゼロ、やっぱレベルの高い好チームでした。

 DFに「必然」のプレーを選択させることによって逆に守備ブロックの破綻を誘う、将棋で言えば「定跡にハマった」とも言えるようなこういう状況は本当に対応が難しい。この場合、サイドバックが中に絞っていくのがとりあえずの対策と言えるのでしょうが、相手のプレーがダイレクトで早かったこともあって、その時間もありませんでしたね。それにサイドに相手のウィングが開いていたりすると、サイドバックは瞬時に“マークを続けるか、それとも離して中に絞るか”の難しい選択を強いられる状況であるのは変わりません。これはもう「この形のリスクは覚悟の上で、相手より多く点を取りゃあいいんだよ」という以外に対策はないですね(笑)

■やっぱり社会人リーグは素敵だ

 とまあいろいろ書いてきましたが、この悪天候の中でも最後まで試合の主導権を渡さず、最小得点差を守り切った選手たちの頑張りはいくら褒めても褒めたりない思いです。昼の間は雨が降っていて、あまりお客さんもきてくれないかな〜と思っていたのですが、蓋を開けてみると、ざっと目測で120〜130人くらい来場されていたのではないでしょうか。富士ゼロ側の関係者の方も含めてではありますすけどね。それでもこれだけの方にご来場いただけたのはうれしい限りです。

 ――週末に、これだけの人の前で素晴らしいプレーを見せる選手たちが、平日はクリーニング屋や印刷工場や金属加工の工場で働いていて、もしかしたら赤羽や十条のラーメン屋であなたの隣に座って昼飯食ってるのかもしれない、って思うとなんだか胸が熱くなりませんか? 今年もどうかスペリオ城北の選手たちの戦いに暖かいご声援をいただけますよう、よろしくお願いいたします。


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